それはとても悲しい物語。人々の想いが交差する儚いSCP3選!!

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不思議で怖くて面白い!そんなSCPを紹介していきたいです!

今回はSCPの中でも悲しくて儚いストーリーである3つの記事を紹介したいと思います!

BSPhotographyによるPixabayからの画像

SCPとは

SCPとは常識に反した超常的な存在です。生物に限らず物や場所などのことを指すことがあります。それらを確保、収容、保護することを目的としているのがSCP財団です。

SCPには収容難易度によってランクづけされておりオブジェクトクラスと言われています。

Safe(セーフ)
 注意して収容しとけばそんなに危険じゃないよ!

Euclid(ユークリッド)
 よくわからないことが多くて危険だよ!収容が難しいかも・・・?

Keter(ケテル)
 収容することができない!なかには人類への壊滅的な危機または世界が終わる危険性があるよ!!

主にこの3種類に分類されてます。

SCP-2492 魂の灯台

オブジェクトクラスSafeNeutralized

StockSnapによるPixabayからの画像

特別収容プロトコル:SCP-2492はサイト-17の標準的なAnomalousアイテムロッカーに収容されます。SCP-2492を実験外でコンセントに差し込むことは認められません。

説明:SCP-2492は高さ370mm、直径100mmのベッドサイド用デスクランプです。SCP-2492の異常特性は、標準的なBS-1363規格の壁コンセントに接続された状態でスイッチが入っており、かつ8~9歳の子供1名がSCP-2492と同じ部屋で眠りに就いた場合に活性化します。

活性化が起こると、子供が眠った数分後、SCP-2492-1がSCP-2492の近傍に出現します。SCP-2492のスイッチを切ると、SCP-2492-1はもう一度スイッチを入れるまで現れなくなります。

SCP-2492-1は、切断されたヒト型生物の右腕に似ている、概ね無形の実体です。皮膚は海老茶色であり、深刻な挫傷・瘢痕・何枚かの爪の欠落が見られます。

こわ!?めっちゃ傷ついた腕でてくんの!?ホラーじゃん!

SCP-2492-1は触覚を感じることが可能である様子を示しており、しばしば周辺環境にある様々な家具やその他の物品を掴みます。SCP-2492-1は自らの長さを出現点から遠くへと延伸することができ、また逆に出現点に向かっての短縮も可能です。

出現する際、SCP-2492-1はまずSCP-2492から発せられた光に向かって移動するかのように姿を見せ、次いでその場の子供を見つけるまで室内を触覚で探ります。子供を見つけると、SCP-2492-1は頭に向かって動き、顔の特徴を非常に細やかに探り始めます。

その後、SCP-2492-1は髪の毛を指で漉く・手を身体の上に休める・手で頬を撫でるなどの様々な手段で子供と交流して過ごします。ある程度の時間が過ぎると、SCP-2492-1はSCP-2492まで移動し、スイッチを切ってから出現点に戻って消失します。

子供を攻撃するわけではないのか・・・むしろ友好的な行動みたいだけど・・・

SCP-2492-1と相互作用する子供は、SCP-2492-1に触れられている時に苦悩や不快感の兆候を全く示しません。SCP-2492-1がいる間、子供は外部干渉が行われない限り目を覚ましません。

SCP-2492-1は往々にして、子供が起きるとそれに気付いた素振りを見せます — これは多くの場合、唐突な指のひきつけによって表現され、その後SCP-2492-1は出現点に退却して消失します。

SCP-2492は当初、イギリスの?????にあるパトリック家で、敷地内に侵入した人物が死んだという通報後に発見されました。警察の報告書は、問題の犯罪者が夜間に家屋内に押し入り、その後すぐにパトリックの息子であるグレゴリーの部屋に未知の理由で侵入したことを示しています。

グレゴリー・へのインタビューによると、侵入者は“浮かんでいる手”のようなものに掴まれて絞殺され、その後“手”はベッドサイド・ランプへ移動してスイッチを切り消失しました。

インタビューにおいてパトリックは、ランプは引っ越した数週間後、家の客間を整理している時に見付けた物であり、息子が自分で使えるように与えたと主張しました。ベッドサイド・ランプは後に財団の管理下に置かれ、SCP-2492に再分類されました。

SCP-2492があった家の以前の所有者に関する調査で、家は元々トーマスおよびマーガレット(故人・自動車衝突事故)に購入されていたことが明らかになりました。SCP-2492は夫妻の息子であるマイロがベッドサイド・ランプとして使用していたようです。トーマスは、転居の際にSCP-2492他数点の物品を持ち出し忘れていたと主張しました。

補遺2492-1:SCP-2492-1の身体的状態は出現するごとに悪化しており、既存の瘢痕や挫傷を上回る傷を負い始めています。これらの負傷には時間経過で治癒する様子が見られません。

SCP-2492-1は不快感の兆候を示しており、しばしば移動中や接触した物体から傷への圧力を加えられた場合に身震いします。

SCP-2492-1が出現点から姿を見せる度に瘢痕・挫傷が悪化しているように思われることから、出現行為そのものが負傷の原因である可能性が示唆されています。

これらの問題にも拘らず、SCP-2492-1はSCP-2492の活性化ごとに出現し続けており、身体的苦痛を示しつつも標準的な振舞いを続けています。

加えてSCP-2492の実験は、お互いに顔面部の明確な特徴を共有している子供たちと交流する際、SCP-2492-1の行動が繰り返し変化していることを示しています。

これらの特徴は全てマイロの顔付きと一致しています。

行動変化は、文書2492-Aに詳述されるものと似た形状の顔の特徴を認めたSCP-2492-1が、子供の顔の様々な部位を突然かつ必死の様子で触り始めることで表現されます。

SCP-2492の異常活動を活性化させる子供の年齢範囲と、現在のマイロの年齢が既にその制限を超過していることから、実験のためにマイロとほぼ同じ顔付きの子供を探す試みが承認されています。

もしかしてマイロ(子供)を探してる亡くなったマーガレット(母親)なのかな?

補遺2492-2:マイロとほぼ同じ顔付きの子供がSCP-2492の実験に参加しました。この時点で、SCP-2492-1の身体的状態は過去の記録より顕著に悪化しており、対象者との接触にあたっては激しい苦痛の兆候を見せていました。

対象者の顔の特徴を数秒間探った後、SCP-2492-1は動きを止め、続く数分間にこの過程を何度も繰り返しました。

その後、SCP-2492-1は数秒間、激しく震えながらも不動を保っていました。SCP-2492-1は続けて対象者の頭部を固く包み込んだ後、その頬を撫で始めました。

身体状態にも拘らず、SCP-2492-1はこれを身震いしながら約5時間にわたって続行しました。

事案発生後、SCP-2492-1は出現点へと戻りましたが、その様子は以前より焦燥していないように見受けられました。

補遺2492-3:SCP-2492-1は上記の実験以来出現していません。スイッチを入れる試みや電球交換にも拘らず、SCP-2492の機能性は失われました。これを基にSCP-2492はNeutralizedに再分類されています。

自分の子供を探しているSCP!?今ではこの現象は発生してませんが彼女は安心して天国に行くことができたのでしょうか・・・

著者 [Penton] 原作記事 http://www.scp-wiki.net/scp-2492

SCP-180-JP 月光草

オブジェクトクラスSafe

Joyjit ChowdhuryによるPixabayからの画像

特別収容プロトコル:SCP-180-JP生息エリア周辺の土地は財団フロント企業によって購入され、私有地として一般人の立ち入りが制限されます。

侵入者に対しては標準的な手順によってAクラス記憶処理等の措置がとられます。写真等によるSCP-180-JPの存在の漏洩に関しては、非認識災害オブジェクト情報保護手順を参考に最低限の偽装措置が取られます。

生息エリア内のSCP-180-JPは担当職員によって管理されます。担当職員は安定した個体数維持の観点から過去に園芸植物を育成した経験のある者が望ましいですが、人員の調達が困難である場合はSCP-180-JP取り扱い講習を受講した職員を配置してください。

SCP-180-JPのサンプルはサイト-81KAにて分析され、生息エリア外での収容手順確立が目指されます。

説明:SCP-180-JPはかつて宇藤氏(詳しくは後述)が所有していた小規模な山林の一部に生息する多年生植物です。

SCP-180-JPはDNA上ヒマワリ(学名: Helianthus annuus)の近縁種に当たると考えられており、実際にその基本的な構造はヒマワリに極めて類似しています。ただし、以下の部分はヒマワリと大きく異なっています。

  1. 大きさ:SCP-180-JPは最高で40 cm(地表からの高さ)ほどまでしか成長しません。
  2. 花弁:SCP-180-JPには花弁が存在しません。
  3. 中心部:ヒマワリであれば管状花が集合している中心部には、管状花の代わりにSCP-180-JPの果実が存在します。(この果実を以下SCP-180-JP-1と呼称。詳しくは後述。)
  4. 生命力:SCP-180-JPはヒマワリと異なり多年草で5年程度の寿命を持ちます。温度変化には比較的強い耐性を持ちますが、栄養素不足と水不足に非常に弱く、生命力の強い他の草本(いわゆる雑草)の侵入によって容易に駆逐されます。また、SCP-180-JPは現在の生息エリア外では不明な原因により半年以内に枯死します。

SCP-180-JPの果実であるSCP-180-JP-1は外見上月のように見えますが、実際の内部構造と構成物質はクルミ科の植物が生成する核果に酷似します。

SCP-180-JP-1は受粉によって生成されるものではなく、SCP-180-JPの発生直後に外殻が生成され、その後徐々に熟していきます。これはSCP-180-JPが単為生殖によって増殖するためです。

完全に熟したSCP-180-JP-1は自然にSCP-180-JPから脱落します。SCP-180-JP-1を失ったSCP-180-JPはまた最初からSCP-180-JP-1の生成を開始します。

自然に脱落する以外の要因でSCP-180-JP-1が脱落した場合、SCP-180-JPは枯死します。また、SCP-180-JP-1は夜間に青白く発光します。これは種子の生成を助ける未知のバクテリアによるものです。

SCP-180-JP-1の外殻は厚さ1 mm程度で密度も低く、内部のバクテリアが発した光を透過させますが、その特殊な構造により同様の厚さのアクリルガラスの6倍ほどの耐久性を有します。

現在、このように高耐久・低重量である外殻を財団の有する設備へ何らかの形で応用できないかが議論されています。

SCP-180-JP-1内部に存在する種子は他のクルミ科の植物の種子と同様高い栄養価を持つほか、ヒトの体内に入ることで短期間の幻覚症状を引き起こす物質を有しています。

この幻覚物質の生成に未知の発光するバクテリアが関与していると考えられています。種子の摂食によって引き起こされる幻覚は多くの場合摂食した者が幸福感を覚えるような内容であり、ストレスの軽減などをもたらします。

ただしこの幻覚物質の一部には非常に高い発がん性をもつ物質が含まれており、現在幻覚物質から発がん性を取り除く研究が行われています。

麻薬みたいな感じなのか・・・世界に広まるとかなり危険だ!!

SCP-180-JPは自然調査のため生息エリアを訪れた学生が小屋の中にあった宇藤氏の遺体を発見、通報したことにより発見されました。

関係者は記憶処理のうえ解放されています。発見当初、SCP-180-JPは生息エリアの手入れが行われていなかったためにほとんどが枯死し絶滅の寸前でしたが、その後財団の管理下に置かれたことで個体数は徐々に回復しています。

宇藤綾子氏は、生息エリア中心に位置する小屋で生活していたとみられる女性です。SCP-180-JPの発見時に小屋のベッドで白骨化している状態で発見されました。

宇藤氏は一般的な日本人で特に異常性を有しませんが、2003/2/9に行われたSCP-???-JPの収容作戦時に周辺に居合わせたため、エージェント・戸高によって救出された経歴を持ちます。

宇藤氏はSCP-???-JPの存在について把握していなかったため、カバーストーリーの伝達後解放されています。

解放後も宇藤氏とエージェント・戸高の間には交流があったことが小屋に残されていた日記から推測されていますが、エージェント・戸高による機密情報等の漏洩はなく、あくまでプライベートな交流であったと考えられています。

なおエージェント・戸高は2005/5/2の収容作戦時に空間歪曲に巻き込まれMIAに指定され、2006年には遺体未発見のままKIAに指定されています。

以下は小屋で発見された宇藤氏による日記の抜粋です。

日付: 2005年5月3日

今日は戸高さんからの連絡がありませんでした。危険なお仕事をしていると聞いているので少し心配です。ただ連絡がこないのは初めてではないですし、きっと今回も帰ってきてくれるはずです。明日返信が来ることを祈って寝ます。おやすみなさい。
日付: 2005年5月10日

連絡が途絶えてもう1週間が経ちました。以前2週間も連絡がこなかったときのことを思い出し、あの時と同じ気持ちで夜の空を見上げています。月を見ると初めて戸高さんと会ったときの風景が目の前に浮かぶのです。森で迷い泣きそうな私を、戸高さんは月明りを頼りに導いてくれました。きっと大丈夫ですよね。今日は満月ですし、きっと帰ってきてくれますよね。
日付: 2005年6月2日

もう1か月が経ちました。まだ返信はありません。最後に送ったメールを何度も見返してしまいます。そんなことをしても、寂しくなるだけなのに。

そういえば、町に新しくお花屋さんができました。確か名前は"夜宵園芸"といったはずです。初めてお茶をしたとき、戸高さんは「花が好きだ」と半分照れながらお話してくれましたね。今度、下見をしてくることにします。戸高さんが帰ってきたとき、一緒に行くために。
日付: 2005年6月7日

今日は夜宵園芸に行ってきました。たくさんのお花があって、とても楽しいお店でした。きっと戸高さんも喜んでくれると思います。そういえば、お店には不思議な写真がありました。月のお花の写真です。とてもきれいな写真で、とても印象に残っています。あんなお花はこの世にはないと思いますが、合成でしょうか? 今度、店員さんにお話を聞いてみたいと思います。

今日は新月です。どうしてでしょうか、胸が鉛になったように重たいです。
日付: 2005年6月10日

この前書いた月のお花の写真ですが、店員さんのお話によると実在するらしいのです。ただこのことはあまり口外して欲しくないそうなので、こうして日記に驚きをぶつけています。月の花は希少なうえ育てるのがとても難しく、育つ土地が限られるせいで、購入して育てるにはとてもお金がかかるそうです。具体的な金額を尋ねたのですが、その高さに驚きすぎて心臓が止まるかと思いました。私にはとても払えそうにはありません。

今日は曇り。月は見えません。
日付: 2005年8月31日

いつも月の花の写真を眺める私に、店員さんが声をかけてくださいました。私が事情を話すと、店員さんは月の花の値引きを提案してくださいました。値引きがあっても私が今持っているお金ではとてもとても足りませんが、店員さんのご厚意で月の花と必要な土地を確保しておいてくださるそうです。月の花を買うために、仕事を増やすことに決めました。

今日も曇りですが、私が必ず戸高さんを照らす月を手に入れて見せます。待っていてください。
日付: 2006年5月16日

最近は日記をつけられていませんでしたね。仕事が少し忙しかったのです。でも頑張ったおかげでもう少しで目標金額に届きそうです。あともうちょっと。頑張ります。
日付: 2006年7月19日

遂に月の花を購入することができました! 土地の場所がここと離れすぎていないかと心配していましたが、意外と近いところで安心しています。夜宵園芸さんは、ご厚意で小屋まで用意してくださりました。本当にありがたくて、少し涙が出てしまいました。土地にはすでに月のお花が植えられていて、夜宵園芸の方が育て方を丁寧に教えてくださいました。すこし育てるのが難しそうですが、かならずこの土地をお花畑にして見せます! そうしたら、きっと戸高さんも帰ってくる場所を見つけられるはずです。
日付: 2007年5月2日

戸高さんと連絡が付かなくなってもう2年が経ちました。まだまだお花畑とは言えませんが、月の花は順調に増えています。夜宵園芸のお店はいつの間にかなくなっていました。戸高さんと行きたかったのですが、残念です。

戸高さん、早く帰ってきて、一緒にお花畑を作りましょう。私はまだ待っていますよ。
日付: 2009年5月2日

あの日からもう4年です。お花畑はあと1年もすれば完成しそうです。私はいつまでも待っています。ただ、少し辛いです。信じ続けるということは、こんなにも難しいことなんですね。心のどこかで、戸高さんがもう帰ってこないのではないかと疑ってしまっています。ダメなやつですね、私。
日付: 2009年9月2日

興奮で手が震えています。
保管してあった月の花の実が割れて、なかからクルミのような種が出てきました。実はとても硬いのですが、どうやら縦にうまく力を入れると割れるようです。その種を好奇心から軽く炒って食べてみたところ、しばらくして目の前に戸高さんが現れたのです! それから戸高さんとお話をして、月の花を一緒に眺めて、それからハグをしました。もう、こんなに楽しいのは何年ぶりでしょうか。気付いたときには朝で、私は床に倒れていました。

あれは幻だったのでしょうか。幻だとしても、これ以上嬉しいことはなかなかありません。これだけ待って、やっと会えたのですから。
日付: 2010年2月28日

月の花の種を食べると戸高さんに会えると知った日から、とても幸せな日々が続いています。種の数は多くはないですが、新しく植える分をなくせば困ることはないでしょう。ただ、最近少し具合が悪いのです。あちこちが痛んだり、なんとなく怠かったり。風邪でしょうか。早く治したいところです。
日付: 2010年3月6日

先日仕事中に倒れて、近くの病院に入院していました。検査の結果だと悪性の腫瘍、つまりは癌が全身にあり、このままでは4ヵ月と持たないそうです。もしもっと大きい病院にいけば余命を伸ばせる可能性もあるらしく、先生も紹介状も書いてくださると言ってくださいました。ただ今日は、返事はとりあえず明日に持ち越しということにして帰ってきました。月の花が気になったのです。

案の定、いくつかの月の花は枯れてしまっていました。私は自分の間違いに気が付きました。戸高さんが帰ってこられるように、戸高さんのために始めた花畑だというのに、いつの間にか自分が戸高さんに会えればよいと目的がすり替わっていたのです。そして脆い幻覚に身を任せて、花畑すらおろそかにしてしまいました。私は最低な人間です。きっと、この癌も報いなのでしょう。
日付: 2010年3月7日

病院に行ってきました。先生には申し訳ないことをしましたが、紹介状の件と入院はお断りしました。私はもう諦めません。戸高さんは帰ってくる、そう信じます。戸高さんが帰ってこられるように、花畑の手入れは怠ることはできません。戸高さん、私は待っています。だから帰ってきてください。そうして、花畑で一緒に写真を撮りましょう。
日付: 2010年4月5日

世話を続けたおかげで、枯れかけていた花たちも元気を取り戻しました。お薬はどんどん増えますが、まだまだ頑張らねばなりません。立ち止まってしまった分を取り戻すのは難しいかもしれませんが、できるところまではやるつもりです。
日付: 2010年5月2日

最近は腰をかがめることが難しく、雑草抜きにとても時間がかかります。花の世話以外では、ほとんど横になって過ごすようになりました。ですが、月の花は活気にあふれています。大丈夫、きっとまた会えます。
日付: 2010年6月8日

歩くことがつらいです。なんとか水やりを続けていますが、とても丁寧とは言えません。文字を書くのもつらく、日記も徐々に短くなっています。
日付: 2010年6月27日

今日は少し調子が良かったので、月の花の実を植えてきました。今回植えた分が咲けば、土地は月の花でほぼいっぱいになるはずです。この目で見られないだろうことが、少し残念です。

今まで何度も、「私がやってきたことは無意味だったのか」と挫けそうになりました。本当に情けないですね。でも、今はもうそんなこと思いません。ここまでやってきてやっと、心の底からまた戸高さんに会えることを確信することができました。もちろん根拠なんてありませんが、根拠なんていらないのです。

今日は満月です。私はずっと、ここで待っています。
2010年6月27日以降、日記はつけられていません。

彼女は亡くなるまで恋人を待っていたのか・・・帰ってくると信じて。

追記2014/4/3:SCP-180-JP生息エリア付近の森林で、エージェント・戸高の白骨化した遺体が発見されました。

同地点は2006年にも探索が行われていましたが、当時遺体は存在していませんでした。遺体は検査の結果異常性を持たないことが判明しています。

エージェント・戸高の遺体は保管されていた宇藤氏の遺体とともに、生息エリアの小屋の脇に埋葬されました。現在SCP-180-JPの個体数は大幅に回復し、生息エリア全域に渡って繁茂しています。

儚い恋の物語!?恋人を待って死ぬまでSCP-180-JPを育てていた宇藤さん。彼女はその花の能力に魅了され異常なまでの執着を持っていました。ひとえに彼に会いたいがために・・・

著者 [norainu] 原作記事 http://scp-jp.wikidot.com/scp-180-jp

SCP-721-JP 夏日の坂

オブジェクトクラスSafe

shotarrow sakamotoによるPixabayからの画像

特別収容プロトコル:SCP-721-JPの出入り口双方には鉄製の施錠扉が設置され、さらにその周囲をフェンスで囲むことで民間人の侵入を防ぎます。

隣接する施設にはSCP-721-JP-αに投入された探査ドローンから送信される情報の処理を行う人員として2名以上の職員を常駐させてください。

SCP-721-JP-αへの人員の投入を行う際にはレベル3以上の職員による承認と、通信機器および進行距離を計測可能なメーター等を装備させることが要求されます。

オブジェクトの性質が解明されたと判断されるまで廃棄物処理施設の建造計画は無期限に延期されます。


プロトコル更新:計画の凍結解除がサイト-81??管理者によって承認されました。それに伴いカバーストーリーの適用等、民間人の立ち入りを防止するためのプロトコルが一部強化されます。

説明:SCP-721-JPは??県??市郊外の旧道に存在する下り坂へ続くトンネルです。SCP-721-JPはヒトが下り方面に向かって進入した場合に限りその異常性を発現させます。

トンネル出口を通過した人物(以下、被験者)は特定環境への急激な変化を知覚するとともに、外部からはその姿が完全かつ瞬時に消失する様子が確認されます。

この現象が時間軸の切り離された異常領域への侵入によって引き起こされるものなのか、現実を模倣した異常空間への転移によって引き起こされるものなのかは判明していません。

神隠しじゃん!そのトンネル取り壊した方がいいんじゃないの!?

SCP-721-JP-αと指定されたこの空間内で観測される景観および環境は常に一定に保たれており、現実空間における変化の影響を受けることはありません。

SCP-721-JP-αにおける天候、気温、湿度、風速、雲量、太陽高度、および北東方向上空に残存する航跡雲などといった情報は、19??年8月??日??時??分時点でその環境が固定されている可能性を示唆しています。

またセミの鳴き声や動物の生活に依存する植物や真菌といった兆候が見られるにも拘らず、現在までSCP-721-JP-α内で動物の存在が確認されたことはありません。

SCP-721-JP-α内では、被験者がSCP-721-JP-αに対して抱く主観的な認識や感情に応じてその度合いを変化させる特異な空間的異常を呈していると考えられています。

現在SCP-721-JP-α内では極めて顕著な空間拡張が発生しており、この拡張率はSCP-721-JP-α内に新たな被験者が侵入することで上積みされる形で加算されます。

Dクラス職員の投入実験から得られた一人あたりの加算率の平均はおよそ0.17%です。
またSCP-721-JP-α内では時間の経過や活動とともに通常発生するあらゆる物質的、精神的な変化や消耗が表れません。

その影響から被験者は時間や空間を把握する能力の極端な低下を経験し、SCP-721-JP-αの性質を認知した上で意識を向け続けない限り空間内での時間経過や進行距離に対して無関心であり続けます。

SCP-721-JPは19??年、廃棄物処理施設の最終建造候補地の視察に訪れた民間人により偶発的に発見されました。

狼狽した様子で夏に変わる道があるとの証言を行う人物の情報を、付近に潜伏していた財団エージェントが捕捉し調査が行われました。

現在、SCP-721-JPの近隣地域一帯を所有していた有真??氏がオブジェクトの起源に何らかの形で関与していたと見られています。

有真氏はナショナルトラスト運動を中心とした環境保全・自然保護活動に従事する、とりわけ開発事業に批判的な活動家として知られていました。

彼がその青年期にディープエコロジーに類する複数の過激な自然保護団体を渡り歩いた後、ニューエイジの神秘主義を主張するカルト宗教に傾倒したという経歴はオブジェクトの起源を推し測る上で注目すべき点です。

有真氏はSCP-721-JPの存在が発覚する?年前に消息を絶っており、ほぼ同時期に行方不明となっていた氏の実子二名とともに捜索願が提出されていました。財団による捜索が行われましたがその所在は現在に至るまで不明です。

19??/05/??
??年ぶりに帰ってきたこの地の眺めは、かつてと何ひとつ変わってはいなかった。この雄大な自然も景勝も、私が少年だった頃の記憶そのままに残されている。大した荷物もなかったため、転居作業も早々に終えられた。そう、ここでの暮らしに余計なものは必要ない。今日から私の新たな生活が始まる。
唯一気がかりなのは妻と子どもたちのことだ。彼女たちにはすまないことをした。だがこれは誰かがやらねばならないことなのだ。いつかきっと分かってくれるだろう。
19??/05/??
ここでの生活はすべてが不便で、だがこれまでに無かった充足感を私に与えてくれる。これこそ本来あるべき人の営みというものだろう。こうした感性を理解できない者が多いことは残念でならない。
近くこの地が開発の標的になるという噂も聞いた。数字が記された紙束などでこの地が私のものになったなどと驕る気はないが、そうした横暴から守ることはできる。

人の身勝手な欲望によってこの自然が壊される。それは本当に必要なことなのか? 生活が豊かになっていくとともに、人は大切なものを失くし始めている。
[以降続く無関係な記述を省略]
19??/06/??
今日はとても素晴らしい出来事があった。??と?が私のもとを訪れたのだ。偶然私の居所を知り、妻に隠れて来たのだという。この場所は彼らの住まいと近いとは言えない。そんな距離を、幼い彼らが二人きり、自転車で……だがそんな息子たちの無謀を咎める気持ちより、驚きと喜びが勝った。
ここには彼らをもてなせる玩具も、ゲームも、テレビすらない。だから私は代わりにこの地の思い出を語って聞かせた。今の私を形作ったと言っていい、まだ私が彼らほどの年齢だった頃の話だ。その中で彼らがとりわけ興味を示したのは、私が夏休みにあてもなく自転車で駆け回った際に見つけた坂道の話だった。同じような冒険を経てやって来た彼らだからこそ、その話には感じ入るものがあったのだろう。二人は見に行きたいとひどくせがんだが、私はそれを窘めた。時刻などもっともらしい理由はつけたが、本音は次への期待を持ちたかったというだけだ。

「夏になったらまた来る」と、彼らが別れ際に残したその言葉を私はやはり咎めることができなかった。
19??/06/??
先日の息子たちの訪問は、私に一つの決意を抱かせていた。
やはりこの場所は子どもたちに……未来に残していかねばならないものだ。たとえその手段が世の理に反するものだとしても、この自然が壊される不条理に比べれば何ほどのことがあるという。

[編集済]の知識を応用することで理論の原型はすぐに構築できた。昔取った杵柄も馬鹿にできない。問題があるとすれば燃料の方だろう。すなわち何をもってこの理論を回すか……悩むまでもない。それは私が子どもの頃から抱き続けてきたこの地への強い想いだ。それをもって、この景色は永久に留め置かれる。
19██/07/██
理論は完璧。準備も万端。失敗など万に一つもあり得ない。


そのはずだった。
絶対の自信をもって作動させた私の理論は、まともに機能しなかった。信じられない。いったいどこに不備があった。
それとも、あるいは燃料が足りないのか。私の想いではこの理論を回すには不足だと? いいやそんなはずはない。初めてこの場所を訪れた時の感動は、今も変わることなくこの胸にある。
また各要素を一から検討し直し調整していく。気骨の折れる作業だが、それを行うのがこの場所だというのがせめてもの慰めだ。ここからの眺めは私に十分な癒しと余裕を与えてくれる。
19??/07/??
何がおかしい。何が足りない。いったい何が間違っている。    ふざけるな。
あのとき掠めたデータが不完全なものだったのか? それともあのイカレ教主の妄言などを頼りにしたのがそもそもの間違いだったのか?

何にせよ、今さら引き下がることなどできない。この景色が来年も残されているという保証がどこにある。この夏、あの子たちがまたここへ来られるという保障は? なんとしてでも私は創りあげてみせる。かつて少年だった私が見たままの、完全なる夏日の坂の再現を。
19??/08/??
私はただここでの思い出を守りたかった。子どもたちにこの場所を見せてやりたかった。私がこれまでに見たもっとも美しい光景を。彼らが大人になる前に。
しかし私は失敗した。何を間違えたのかすらわからないまま、時間は今も留まることなく進み続けている。

息子たちがここを訪れるのはいったいいつになるのだろう。数ヶ月ぶりの酒も、この忸怩たる思いを拭うことはできない。
この景色を永遠のものとすることができなかった無力な私でも、彼らの思い出の中に残し続けることくらいならできるだろうか。
19??/08/??
今日この日、私の理想は完全な形で成し遂げられた。他ならぬ、私の息子たちの手によって。
彼らの認識によって極限まで時間を引き延ばされた世界は、その代償を求めるかのように猛烈な空間的広がりを見せた。いや、あるいは逆であるのか……もはや分からないしどうでもいい。ただ一つ確かなことは、完成した夏の日から私が取り残されたという事実だけだ。

かつてこのトンネルを抜け、この景色を初めて目にした私には、世界がどこまでも広がっているのだと感じられた。この坂を下る時間は永遠に続くのだとさえ思っていた。だが月日が流れ、歳を重ね、世界を正しく理解できるようになった私には、ここから見える景色すらこれほどまでに小さくくすんだものになってしまっていた。
あの子たちは今もこの坂を下り続けているのだろうか。かつて私がそうだったように、この坂道がどこまでも続くと信じ、無邪気な叫び声を上げながら。
すまない??。許してくれ?。私がおまえたちに追いつくことはもはやできない。今の私には、おまえたちほど純粋にこの景色を広いと信じることはできないんだ。

どんな魔法を使おうと、何を代価に支払っても、あれほど向こう見ずに、無鉄砲に、私があの坂を下ることは二度とない。
いつまでも変わらないこの景色を留めれば、いつかあの夏の日に帰れるかもしれないなどと……そんな思い違いを、私はしていたのだろうか。

純粋な子供にしか見えない世界か、それがいつまでも続いていく。

SCP-721-JP-αは現在も少年ら二名によって拡張され続けているものと考えられています。

投入された探査ドローンによる両名への接触が成されるには??年を要すると見積もられています。

子供によって創造される世界!!有真氏はこの世界の虜になり自分の子供たちは世界を広げる礎となりました。皮肉にも彼が果たせなかったもの子供たちは成し遂げたのです。その景色はどれほど美しく儚いものだったのでしょう

著者 [home-watch] 原作記事 http://scp-jp.wikidot.com/scp-721-jp

終わり

Evgeni TcherkasskiによるPixabayからの画像

今回はそれぞれの人の思いが交差する悲しい物語を紹介しました。人の思いとは単純ではなく複雑に物事に絡み合っていることがわかりますね!原作記事が気になったら是非読んでください!!

この記事はCC BY-SA 3.0ライセンスに基づきます。

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