ネットやSNSで有名な都市伝説。愛される都市伝説の1つ「邪視」を紹介したいと思います。
邪視
邪視とは
邪視とは世界中で伝えられる伝承の1つ。悪意を持って相手を睨み付けることによって呪いをかけると言われている。邪眼、または魔眼とも呼ばれる。
次に紹介するのは2008年に2チャンネルに投稿された邪視に遭遇してしまった男の話。
これは投稿主(以下よりA)が14歳の時の話だ。
冬休みに、N県にある叔父(と言ってもまだ当時30代)の別荘に遊びに行く事になった。
本当は彼女と行きたかったらしいが、最近別れたのでAを誘ったらしい。
小さい頃から仲良くしてもらっていたので、Aは喜んで遊びに行く事にした。
叔父もAと同じ街に住んでおり、早朝に叔父が家まで車で迎えに来てくれて、そのまま車で出発した。
叔父は中々お洒落な人で、昔から色んな遊びやアウトドア、音楽等等教えてもらっており、尊敬していた。
車で片道8時間はかかる長旅だったが、車内で話をしたり音楽を聞いたり、途中で休憩がてら寄り道したり、本当に楽しかった。
やがて目的地近辺に到着し、スーパーで夕食の食材を買った。そして、かなりの山道を登り別荘へ。
それほど大きくはないが、木造ロッジのお洒落な隠れ家的な印象だった。
夕食は庭でバーベキュー。普通に安い肉だったが、やっぱり炭火で焼くと美味く感じる。
ホルモンとか魚介類・野菜も焼き、ホントにたらふく食べた。白飯も飯盒で炊き、最高の夕食だった。
深夜になると、怖い話でも盛り上がった。叔父はこういう方面も得意で、Aは本当に怖がっていた。
ふと、叔父が思い出した様に「裏山には絶対に入るなよ」と呟いた。
何でも、地元の人でも滅多に入らないらしい。マツタケとか取れるらしいが。
関係ないかもしれないが、「近くの別荘の社長も昔、裏山で首吊ってる」と言った。
いや、そんな気味悪い事聞いたら絶対入らないしと、その時Aは思った。
そんなこんなで、早朝の5時ごろまで遊び倒して、やっとそれぞれ寝ることになった。
部屋に差し込む日光で目が覚めた。時刻はもう12時を回っている。喉の渇きを覚え、Aは1階に水を飲みに行く。
自分の部屋に戻り、ベランダに出て椅子に座る。景色は丁度裏山に面していた。別になんて事はない普通の山に見えた。ふと、部屋の中に望遠鏡がある事を思い出した。
自然の景色が見たくなり、望遠鏡をベランダに持ってくる。高性能で高い物だけあって、ホントに遠くの景色でも綺麗に見える。町ははるか遠くに見えるが、周囲の山は木に留ってる鳥まで見えて感動した。
30分くらい夢中で覗いて、丁度裏山の木々を見ている時、視界に動くものが入った。人?の様に見えた。背中が見える。頭はツルツルだ。しきりに全身を揺らしている。地元の人?踊り?
手には鎌を持っている。だが異様なのは、この真冬なのに真っ裸と言う事。
そういう祭り?だが、1人しかいない。思考が混乱して、様々な事が頭に浮かんだ。背中をこちらに向けているので顔は見えない。その動きを見て、何故か山海塾を思い出した。
『これ以上見てはいけない』と、本能的にそう感じた。
人間だろうけど、ちょっとオカシな人だろう。気持ち悪い。だが、好奇心が勝ってしまった。
望遠鏡のズームを最大にする。ツルツルの後頭部。色が白い。
ゾクッ、としたその時、ソイツが踊りながらゆっくりと振り向いた。恐らくは、人間と思える顔の造形はしていた。鼻も口もある。ただ、眉毛がなく、目が眉間の所に1つだけついている。縦に。
体が震えた。1つ目。奇形のアブナイ人。
ソイツと望遠鏡のレンズ越しに目が合った。口を歪ませている。笑っている。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
目が合った瞬間叫んでいた。涙が止まらない。とにかく死にたい。異常なまでの鬱の様な感情が襲ってきた。死にたい死にたい……半狂乱で部屋を駆け回っていると、叔父が飛び込んで来た
「どうした!?」
「バケモン!!」
「は?」
「望遠鏡!!裏山!!」
叔父が望遠鏡を覗きこむ。
「~~~~~~ッ」
声にならない唸りを上げ、頭を抱え込む。鼻水を垂らしながら泣いている。
さっきよりは少し気持ちの落ち着いたAが聞いた。
「アレ何だよ!!」
「00子~00子~」
別れた彼女の名前を叫びながら泣きじゃくる叔父。
流石にヤバイとAは思い、生まれて初めて平手で思いっきり人の顔をはたいた。
体を小刻みに揺らす叔父。10秒、20秒……叔父がAを見つめてきた。
「邪視」
「じゃし?」
「いいか、俺の部屋の机の引き出しに、サングラスがあるから持ってこい。お前の分も」
「なんで(ry」
「いいから持ってこい!!」
俺は言われるままに、サングラスを叔父に渡した。
震える手で叔父はサングラスをかけ、望遠鏡を覗く。しばらく望遠鏡を動かしている。
「ウッ」と呻き、俺に手招きをする。
「グラサンかけて見てみろ」
恐る恐るサングラスをかけ覗き込む。
グラサン越しにぼやけてはいるが、木々の中のソイツと目が合った。
言い様の無い不安がまた襲ってきたが、さっきほどでは無い。
だが、心臓の鼓動が異常に早い。
と言うか、さっきの場所では無い……ソイツはふにゃふにゃと奇妙な踊り?をしながら動いている。
目線だけはしっかりこちらに向けたまま……山を降りている!?まさかこっちに来ている……!?
「00、お前小便出るか?」
「は?こんな時に何を……」
「出るなら、食堂に空きのペットボトルあるから、それに小便入れて来い」
そう言うと、叔父は1階に降りていった。
こんな時に出るわけないので呆然とするA、数分後、叔父がペットボトルに黄色の小便を入れて戻ってきた。
「したくなったら、これに入れろ」と言い、叔父がもう1つの空のペットボトルを俺に差し出した。
「いや、だからアイツ何?」
「山の物……山子……分からん。
ただ、俺がガキの頃、よく親父と山にキャンプとか行ってたが、あぁ、あそこの裏山じゃないぞ?
山は色んな奇妙な事が起こるからな……夜でも、テントの外で人の話し声がするが、誰もいない。
そんな時に、小便とか撒いたら、不思議にピタッと止んだもんさ……」
そう言うと叔父は、もう一度望遠鏡を覗き込んだ。
「グウッ」と苦しそうに呻きながらも、アイツを観察している様子だ。
「アイツな。時速何Kmか知らんが、本当にゆっくりゆっくり移動している。
途中で見えなくなったが……間違いなく、このロッジに向かってるんじゃないのか」
「じゃあ、早く車で戻ろうよ」
「多分、無駄だ……アイツの興味を俺たちから逸らさない限りは……多分どこまでも追ってくる。
これは一種の呪いだ。邪悪な視線と書いて邪視と読むんだが……」
「さっき言ってたヤツか……でも、何でそんなに詳しいの?」
「俺が仕事で、北欧のある街に一時滞在してた時……イヤ、俺らが助かったら話そう」
「助かったらって……アイツが来るまでここにいるの?」
「いいや、迎え撃つんだよ」
Aは絶対にここに篭っていた方が良いと思ったが、叔父の意見は、「ロッジに来られる前にどうにかした方が良い」と言う物だった。
あんな恐ろしいヤツの所にいくなら、よっぽど逃げた方がマシだと思ったが、叔父さんは昔から、いつだって頼りになる人だった。俺は叔父を尊敬しているし、従う事に決めた。
それぞれ、グラサン、ペットボトル、軽目の食料が入ったリュック、手持ちの双眼鏡、木製のバット、懐中電灯等を持って、裏山に入っていった。
「暗くなる前にどうにかしたい」と言う叔父の考えだった。果たしてアイツの視線に耐えられるのか?
望遠鏡越しではなく、グラサンがあるとはいえ、間近でアイツに耐えられるのか?
様々な不安が頭の中を駆け巡っていた。
裏山と言っても結構広大だ。双眼鏡を駆使しながらアイツを探しまわった。
叔父いわく、「アイツは俺らを目標に移動しているはずだから、いつか鉢合わせになる」と言う考えだ。
あまり深入りして日が暮れるのは危険なので、ロッジから500mほど進んだやや開けた場所で、待ち伏せする事になった。
「邪視ってのはな、不浄な物を嫌うんだよ。殺せはしないが、それでアイツを逃げされる事が出来たのなら、俺らは助かると思う」
「……それでもダメなら?」
「……逃げるしかない。とっとと車で」
Aと叔父さんは、言い様のない恐怖と不安の中、ジッと岩に座って待っていた。交代で双眼鏡を見ながら。時刻は4時を回っていた。
「兄ちゃん、起きろ」
Aが10歳の時に事故で亡くなった、1歳下の弟の声が聞こえる。
「兄ちゃん、起きろ。学校遅刻するぞ」
うるさい。あと3分寝かせろ。
「兄ちゃん、起きないと死んじゃうぞ!!」
ハッ、とした。寝てた??あり得ない。あの恐怖と緊張感の中で。眠らされた??
横の叔父を見る。寝ている。急いで起こす。叔父が飛び起きる。
腕時計を見る。5時半。辺りはほとんど闇になりかけている。冷汗が流れる。
「A、聴こえるか?」
「え?」
「声……歌?」
神経を集中させて耳をすますと、右前方数m?の茂みから声が聞こえる。
だんだんこっちに近づいて来る。民謡の様な歌い回し。何言ってるかは分からないが、不気味で高い声。
恐怖感で頭がどうにかなりそうだった。声を聞いただけで、世の中の何もかもが嫌になってくる。
「いいか!足元だけを照らせ!!」
叔父が叫び、俺はヤツが出てこようとする茂みの下方を懐中電灯で照らした。
足が見えた。毛一つ無く、異様に白い。体全体をくねらせながら近づいてくる。
その歌のなんと不気味な事!!一瞬思考が途切れた。
「あぁぁっ!!」
「ひっ!!」
ヤツが腰を落とし四つんばいになり、足を照らす懐中電灯の明かりの位置に顔を持ってきた。
直視してしまった。
昼間と同じ感情が襲ってきた。死にたい死にたい死にたい!こんな顔を見るくらいなら、死んだ方がマシ!!
叔父もペットボトルをひっくり返し、号泣している。落ちたライトがヤツの体を照らす。
意味の分からないおぞましい歌を歌いながら、四つんばいで、生まれたての子馬の様な動きで近づいてくる。右手には錆びた鎌。よっぽど舌でも噛んで死のうか、と思ったその時、
「プルルルルッ」
叔父の携帯が鳴った。
号泣していた叔父は何故か放心状態の様になり、ダウンのポケットから携帯を取り出し見る。
こんな時に何してんだ……もうすぐ死ぬのに……と思い、薄闇の中、呆然と叔父を見つめていた。
まだ携帯は鳴っている。プルルッ。叔父は携帯を見つめたまま。ヤツが俺の方に来た。死ぬ。
その時、叔父が凄まじい咆哮をあげて、地面に落ちた懐中電灯を取り上げ、素早く俺の元にかけより、Aのペットボトルを手に取った。
「こっちを見るなよ!!ヤツの顔を照らすから目を瞑れ!!」
Aは夢中で地面を転がり、グラサンもずり落ち、頭をかかえて目をつぶった。
伯父はAのペットボトルの中身をやつにかけた。
さっきのとはまた一段と高いヤツの悲鳴が聞こえる。だがまだそこにいる!!
焦った叔父はズボンも下着も脱ぎ、自分の股間をライトで照らしたらしい。
恐らくヤツはそれを見たのだろう。
言葉は分からないが、凄まじい呪詛の様な恨みの言葉を吐き、くるっと背中を向けたのだ。
俺はそこから顔を上げていた。叔父のライトがヤツの背中を照らす。
何が恐ろしかったかと言うと、ヤツは退散する時までも、不気味な歌を歌い、体をくねらせ、ゆっくりゆっくりと移動していた!!
永遠とも思える苦痛と恐怖の時間が過ぎ、やがてヤツの姿は闇に消えた。
俺たちはロッジに戻るまで、何も会話を交わさず黙々と歩いた。
中に入ると、叔父は全てのドアの戸締りを確認し、コーヒーを入れた。
飲みながら、やっと口を開く。
「あれで叔父さんの言う、興味はそれたって事?」
「うぅん……恐らくな。」
苦笑する叔父。
その後
2人はすぐに山から降り、伯父はロッジを売ることにしたらしい。
Aは叔父に夢の中で弟が起こしてくれたことを伝えると、叔父も彼女に救われたと言った。
邪視と対峙している時、携帯がなったがあれは彼女からだと言う。この山に電波は通っていないのに。
余談
邪視は世界中で知られており、人々に不運を与える象徴とされています。特に青い瞳を持つものは人々に呪いをかけることができると恐れられていた。
漫画やアニメなどに出てくる特殊な目はほとんど邪視の一種ということになります。
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まとめ
世界中で恐れられる存在。「邪視」。目には昔から特殊な力が宿ると言われています。その目には何が移っているのでしょうか。
山に入って変な歌が聞こえてきたら近くに「邪視」がいるかもしれませんね。
もし出会ってしまっても思い出して。「邪視」は不浄を嫌うことを。
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