【レッドリアリティ】現実と非現実が交差する不思議な空間SCP!!

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今回は現実世界とは思えない非現実な異空間SCPレッドリアリティを紹介しようと思います。

Ylli BajramiによるPixabayからの画像

SCPとは

SCPとは常識に反した超常的な存在です。生物に限らず物や場所などのことを指すことがあります。それらを確保、収容、保護することを目的としているのがSCP財団です。

SCPには収容難易度によってランクづけされておりオブジェクトクラスと言われています。

Safe(セーフ)
 注意して収容しとけばそんなに危険じゃないよ!

Euclid(ユークリッド)
 よくわからないことが多くて危険だよ!

Keter(ケテル)
 収容することができない!なかには人類への壊滅的な危機または世界が終わる危険性があるよ!!

主にこの3種類に分類されてます。

SCP-3001 レッドリアリティ

Jill WellingtonによるPixabayからの画像

オブジェクトクラスEuclid

特別収容プロトコル:SCP-3001への更なる意図しない進入を防止するため、全ての財団の現実歪曲技術はクラス-C”ブロークン”型ワームホール(ワープホールのようなもの)の生成を防ぐための、複数の新規開発されたセーフガードを用いてアップグレード、もしくは修正されます。

SCP-3001に関する知識は、それを学ぶべき全レベルの職員に開放されますが、SCP-3001およびその関連技術の研究と実験は、サイト120、121、124、133から特別なクリアランス指定を受けたレベル3以上の職員に厳格に限定されます。

説明:SCP-3001は、瞬間的なクラス-C”ブロークン・エントリー”ワームホールの生成を通じてアクセス可能な逆説的な並行/ポケット”非次元”です。並行宇宙は無限に拡大すると考えられる一方で、ヒュームと時空の関係についてのKejelの現実性の法則に反して、SCP-3001はほとんど物質を含んでおらず、0.032という極端に低いヒューム値を持ちます。

この現象により、内部の物体の劣化は極めて遅く、通常は致命的となる損傷でも生体や電子機器の機能は奪われません。シミュレーションによると、生物は肉体から70%以上の組織が失われても、脳の40%が残存している限り通常通り機能すると示されています。

しかしながら、長時間の暴露により、物体はSCP-3001自体のヒュームレベルに近づき、物体自身のヒュームフィールドが崩壊するに従って重篤な組織や構造の損傷を引き起こします。

ヒューム値って現実性の強さだよね、ヒューム値が低いと普通の人間でも現実改変ができるからこのSCP-3001内は現実改変し放題なのかな?

SCP-3001は当初現実歪曲技術の試験と収容を行う施設であるサイト-120で2000年1月2日に発見されました。ロバート・スクラントン博士と、妻のアナ・ラング博士はサイト-120の主任研究員であり、”ラング - スクラントン安定機”(LSS)(スクラントン現実錨のこと)と呼ばれる実験装置の開発を行っていました。

予期せぬ地震により、サイト-120の現実性研究室AのLSSが損傷し、スクラントン博士はSCP-3001に転送されました。

スクラントン博士は当初は死亡したと考えられていましたが、彼は少なくとも5年11ヶ月21日の間生存していました。

この間、彼はSCP-3001内での経験と観察を、彼とともにクラス-C”ブロークン・エントリー”ワームホールを抜けSCP-3001に持ち込まれた、理由は不明ながら依然として機能していたLSSのコントロールパネルを用いて記録することが出来ました。

これらの記録は後に、より発達した現実歪曲技術の試験の予期しない副作用により、パネルが突然出現したことにより回収され、SCP-3001の研究の基礎となりました。

新たな技術が開発されているにもかかわらず、スクラントン博士の回収と再統合は成功していません。

スクラントン博士はまだ戻ってきてないのか・・・
再統合って言葉が気になるけど博士は無事なのか・・・?

彼の現在の肉体と精神の状態は、まだ生存しているならばですが、不明です。 [スクラントン博士の回収に関してのさらなる情報は、倫理委員会による審査中です。] スクラントン博士のログの文書化は以下になります。

ログセッション1
[最初の8日の間、スクラントン博士からは解読可能または意味の通る発話は記録されない。彼はパニック、混乱、怒りを交互に繰り返しており、出口を探してSCP-3001内を移動しようと試みているように見える。11日目に彼はようやく録音機器に接近したが、さらに数時間、それが作動していることに気付いていなかった。]

……

名前、ロバート・スクラントン、39歳、誕生日、1961年9月19日。

好きな色。青。
好きな曲、"Living on a Prayer"
妻……アナ……

アナ……

名前、ロバート・スクラントン、39歳、誕生日、1961年9月19日。

好きな色。青。
好きな曲、"Living on a Prayer"
妻、アナ。彼女の目は緑で、私は彼女をとても愛している。

名前、ロバート・スクラントン、39歳、誕生日、1961年9月19日。

好きな色。青。
身長178 cm。
体重85 kg。
妻、アナ、すまない。

名前、ロバート・スクラントン、39歳、誕生日、1961年9月19日。

好きな色。青。
妻の名はアナ、1991年8月12日に結婚。
彼女が外で無事ならいいのだが。
彼女を無事でいさせてくれ、彼女を無事でいさせてくれ。

ロバート、スクラントン。39。アナ、青、妻、頼む……頼む、神様、お願いです……

アナ……アナ……アナ・ボ・バナ……アナ・ボ・バナ4

何だ……あれは何だ? [この時点で、スクラントン博士が録音機器の点滅する光に気付いたと思われる。]

なんてことだ、これは実際に録音してるのか?

[金属の鳴る音が聞こえる。]

[声は高揚してパニック状態である。] 私の名前はロバート・スクラントン、そう、そうだ、私の名前、ロバート・スクラントン、サイト-120の研究者。実際わからないが……覚えていない……おそらくは10日、だが、わ、わ、私はわからない……神よ、誰か聞いているか?わ、わ、私は何が起こったのかわからない。私がどこにいるのか、そして、そして頼む、誰かいるか?ハロー?誰か?!誰か?!

誰も居ないのか。神よ、おお神よ。糞、クソ、クソ、クソ、糞。

何故これが動作しているのか?これはありえない。これが動くはずがない。何なんだこれは?!私は ー 神よ、私は……どれくらい長くここで喋り続けられるか試す必要がある。録音ログには録音時間のげ、げ限界みたいなものががあるはずだ。だがな、何も見えない。点滅する赤いライトが見えるだけだ。スイッチらしきものは何も見えない……

本当に空腹だ。

喉も乾いている。私はこれまでに脱水で死んでいるはずだ。だがなぜかわからない。

ハイ、小さな赤いライトさん。僕に話しかけてくれるかい?……アナに、僕のために話しかけてくれるかい?ハロー?

操作盤を見つけたぞ。

2週間、3日、47時間、58分.

2週間、3日、47時間、58分

2週間、3日、7時間、58分

2週間、3日、7時間、58分

おお……神よ。

プレイバックにエラーがあります。プレイバックにエラーがあります。プレイバックにエラーがあります。

どこにいるかはともかく、明らかなことが1つある……生存のために食事は必要ない。辛い……とても、だがこの点で、死ぬことはない……だから……私には……私には時間があると……思う。何か奇跡が起きて外に出れるかも知れない。ハハ、夢見続けるんだロバート。そうだ、私は疲れた、眠ろうと思う。

3週間、4日、19時間。

ハイ、アナ。僕はまだここにいるよ。ここにいるよ。帰るからね?

2ヶ月、4日、3時間。

……ハイ、ロバートだ。そう、私はこの数週間録音はしていない。ハ、ハハハハ……ハハハ……ハア……ハァ……

ごめん、ちょっと準備が必要だ。深呼吸。

私は……私は忙しかった。私のいる場所についてもうちょっと知ろうとして。私の牢獄。私だけの王国。ハハ、ロバート王。神よ、私は臭う。この場所には空気があるのか?臭いロバート王、めちゃくちゃ空虚な王、ファック。

……すまない、すまない。わ、私はプロフェッショナルでなくてはならない。十分休んだら戻ってくるよ。

……OK、それでは [深く息を吸い、吐き出す。]

私の名前は……ロバート・スクラントン。サイト……120の主任研究員だった。さらに発達した対抗手段の開発のために、様々な現実歪曲型SCPの研究を行う財団施設だ。

最後に……赤いライト、私に話してくれ。

2ヶ月、8日、16時間。

赤いライトの言うには、私は、空のポケット次元と私が考えている空間にとらわれているようだ。1人で。……そう、1人で。全く1人で。

私はこの場所をSCPと呼ぶ……わからない。我々がどこにいるのか私は忘れてしまった。混乱してる。私は過去に何が起こったのか覚えていない。赤いライト、もう一度繰り返してくれ。

2ヶ月、8日、16時間。

だが……周囲にはこの点に関して議論する相手もいない。私自身をつなぎとめるために、このコントロールパネルへ話しかけている。わ……私は記録し続けなければならない。将来、私のように終わる不幸な人間が出るかもしれない。そして……もしこれが外に出ることが出来たなら、それを発生することを防ぐ助けになるかもしれない。これが今私にできる唯一のことだ。そして私には何かすることが必要なのだ、ハハハハ……

……だから、ロバート……スクラントンは……新しいSCPを、将来の研究目的で記録する。それがやるべきことだ。始めるぞ!

どんどんと博士の精神がすり減っているのがわかる・・・

飲まず食わすで死ぬことはなくても誰もいない、不気味な空間、あるのは赤いライトと絶望か。

それでもこのSCPを調べる目的を持って挫けない博士は財団職員の鏡だ!

ログセッション2
…

2ヶ月、11日、10時間。

アイテム番号:SCP、知らないよ、そんなのは。

オブジェクトクラス:Euclid、多分、だがわからない。状況によりアップデートしていく。もっと探索しなくては。

特別収容プロトコル:臆病に聞こえるかもしれないが……うむ……我々はこれを収容できるかわからない。ここは……明らかに地球上ではない。正直言って、ここがどこだかわからない。私は……この空間と安定機のプロトタイプが何らかの相互作用をしたと考える……あとでこれをまた説明する……オーケー、ええと……そう、私がどこにいるにせよ、これが収容できるとは思えない……生成と同じく。違う違う、私が探してた言葉はこれではない。ええと、進入、そうだ、進入の方がいい。私はここへとても酷い現実歪曲事故で入った、そして……違う、違う、ロバート、そんなふうになるなまだ、出口がないかどうかなんてわからないじゃないか。オーオ、livin' on a prayer…… halfway…… there……オホン。

2ヶ月、11日、18時間。

それで……待て、違う、説明だ、ロバート、フォーマットに従うんだ……この場所……私が考えるには何らかの現実性のギャップではないかと思う。ここは暗い。本当に暗い。内部では、この私の言葉が録音されていることを示す小さな赤いライトが唯一見える光だ。自分の手も見えない。ようやくコントロールパネルが見える程度だ。ライトを中心にして、どの方向へ何歩離れてるか覚えなくてはならない。まだ100歩以上離れたことはない。それ以上はとても……とても怖い。ハハ、もう髪が白くなってるんじゃないかと思うよ。見ることはできないけど。そう言えば最近頭も痒いんだ。そのことを考えなければ大丈夫だけど、でも顔全体がヒリヒリする感じがある。なぜかはわからない。

2ヶ月、15日、4時間。

オーケー……ふう、わ、私は少し落ち着かなくては、ジーザス、神よ、クソ……クソッ、クソッ……私は……私はこの場所の特性をまた一つ見つけた。ここまでずっと、ある種の……平面を歩いているんだと思っていた。小さな赤ライトを見続けながら、見える限界まで行ってみた。平坦な道を真っ直ぐ歩けるように感じた。ジーザス、頭が混乱している、アドレナリンがまだ出続けてるんだと思う……だが、私の仮説が正しいなら、そしてこれが一種の現実性なら……虚無だ、そして歩けるような地面はない。今考えてみると、ここにいる間、私は歩いているように感じた、だが何かの中を泳いでいるようでもある。そしてその何かは濃厚で、形にフィットして、それ自身の……圧力がある。適切な言葉とは思わないが、しかし忌々しいことに、この場所は筋が全く通らない、そして私は全力で理解しようとしてるんだ。わかるか?!

神よ……すまない。

つまり、思いつく限り一番いい表現は……濃い黒いゲルの中を歩くようなものだ。私を"表面"に留める十分な張力がある、しかしもし私が……十分強く下がろうと念じれば、降下できる。待て。待て待て待て待て、もっと……もっと試してみる必要がある。また戻る。

2ヶ月、17日、2時間。

進行方向は……特定の方向へ移動しようとする意識のインパルスに強く影響される。つまり、これは完全な現実性ギャップではない、少なくとも私とアナの理論によれば。もし - もし完全な現実性ギャップならば、私は全く動けないはずで、空間は存在しないはずだ。オーケー、オーケー、これで以前より筋が通ってきたぞ、凄い、凄いぞロバート、何かひらめきそうだ、考えるんだ。小さな赤から、平面を歩いて近づいたり離れたり出来た時点で気づくべきだったんだ。これで空腹や脱水で死なない理由も説明できる。ここではほとんど時間が経たない。オーケー。では私は小さな赤の直ぐ側に立って……"下へ"オーケー、ここから小さな赤を三次元空間の起点と考えるんだ。直進して……下がる、そうだいいぞ、そして……そして小さな赤のもとへ"上がって"戻る。そして赤を飛び越えて"飛ぶ"事もできる。ここでの移動は遅い。私の言ったように、ゲルの例えは最も上手い描写だ。

2ヶ月、22日、3時間。

アップデートのために戻ってきたぞ、レッド、サー!ハハハ、来いよレッド、 気楽に構えてくれよ
lighten up
  。ハ!駄洒落のつもりじゃなかった……レッド、ちょっとは笑えよ、面白いだろう!

……

何にせよよし。オホン。

この場所は依然としてKejelの現実性パラメーターの法則にはほとんど従わないようだ。ほとんどと言うのは、本当にほとんど無いんだ。私の計算が正しいのには自信がある、だけど……待ってくれ、もう一度チェックする……

ジーザス。よし、よし、大丈夫だぞ。オーケー、この場所は……もし我々が標準のヒュームスケールを使っているならば、私はヒュームスケールが……0.0……4くらいの現実性の中にいることは確実だ。そう、そう、これは本当に、本当に、本当に凄く低い。なので……私がさっき言ったように、時間も空間もとても小さなスケールで存在する。だから私の生体活動は栄養失調によって終わることはない。しかしそれは同時に……同時に何を意味するのかよくわからない。

……

先のエントリーに加え、私は……私は私の生体活動がこのような低いヒューム濃度でどう反応するのかは解らない。私はほとんどにおいて平均より高いヒュームフィールドの研究をしてきていて、0.8より下のフィールドを持つ現実歪曲機は試験したことがないんだ。これが……これが最初の例になる。これまでで最初の。私はサイト-133の"プロメル・キラー"を覚えている。彼らはそれがヒューム濃度の下限界についてのそれまでの理論を覆すのでそう呼んでいた。とても高価で、奇妙な機械だった。小さな領域を0.4まで下げるのだ。0.05というのは……ああ。

嘘をついていた。嘘をついていたんだ、以前のログで、自分自身に。私の体、そして、この小さなレッドも……我々はこの場所で最も現実的な存在だ。それはつまり……時間の経過とともに……ヒュームフィールドは一定になろうとする、そして……私……私は、またちょっと計算……をしなくてはならない。レッド、アナ、ノートを取ってくれ、私はKejelの第2、第3、第4法則を使っている。準備できたか?0.05を環境値とし、私の外部フィールドを……1から1.4のどこかとする。第2法則のエラー予測補正を使え、そして私の内部を……クソ、まだ私は大丈夫だ。

僕は現実、僕は超現実、素晴らしく現実、ものすごい現実、非現実の世界で最も現実的な男だ。

いつもながらユーモアのセンスがないな、レッド。僕はLSSについて話してるんだぞ、レッド。僕達がここに送られた時、僕達の現実性は最高に盛り上がったんだと思うよ。レッド、クラスで注意を払わなかったのか?そんなにすますなよレッド。オーケー、問題は、LSSが荷電して僕達を……

2ヶ月、18日、7時間。

だめだレッド、ぜんぜん違う、君のKejelの第3法則方程式の変換が間違えてるに違いない。僕達を飛ばしたLSSの故障のために、俺たちは2.2から3.6のどこかにいる。そうだ、それでいいぞレッド。すごくいい。これは……そうだ、レッド、僕達が死ぬ前に、僕達には考えてたよりも多くの時間があることを意味するぞ。オーケー?!

2ヶ月、24日、5時間。

およそ3年。4、もし……もし私が相互作用しすぎなければ。もし……もしここにLSSがあれば、それを……8まで延長できただろうに。それは最善の場合のシナリオだ……だが私は……私は……私は……だが……だが……3年、3年で後戻りできないポイントに来る。ハ、ハハハハハ。私は……私は絶対にそれまでに何かを突き止めなくてはならない。私はしばらくは大丈夫だと思う……少なくとも……だめだだめだ、私はそんなに長くここにいるつもりはないぞ……絶対に何かを突き止めるんだ……

アナ、こんな時はどうしたら良い?君の助けが必要なんだ。この……このヒリヒリした感じ……僕のヒュームフィールドが散逸している……僕の……僕の現実性が薄れていく……3年、僕は3年以内に自分自身を安定化させる必要がある。

私は考えている……アナと私、我々は……ヒュームフィールドが低いときでも、それはヒュームフィールドに違いないという理論を持っていた。それが低いからこそ、ヒュームの拡散には極めて長い時間がかかる。今もし……もし私がフィールドを溜めて再利用できたら、拡散して薄くなりすぎるのを防げたら、私は、私はもしかしたら……これは理論にすぎない、だが……試す価値はある。しかしそれは……

ヘイ、レッド、僕は……僕は少しの間行かなくてはならない。試したいことがあり、君を連れていくことは出来ないんだ。すまない……。いや、違うよレッド、本当に、本当にすまないと思ってるんだ。君と一緒に行けたらと思うよ。でも……もし僕達が一緒にいたら、拡散は早まるんだ……僕達にはできるだけ多くの時間が必要だ。僕はこの場所をもっと知る必要がある、そして君はすべての情報を頭のなかに覚えておかなくちゃいけない。レッド、こっちへおいで。君はー君は大丈夫だよ。僕にはわかる。君は強い。僕なんかよりずっと……ほんのちょっとの間だけだよ、レッド、僕らをもうちょっと長く生かす方法を見つけることが出来るか、試す必要があるんだ。もしかしたらここから出ることすらできるかもしれない。もし十分なフィールドを貯めることが出来たら、……二人でここから出ることだってできるかもしれない。違う、違うよ、まだわからないよ。でも僕は見つけなくちゃいけないんだ。レッド、これは脱出の可能性の話だよ、オーケー?そう、これはギャップだ。ギャップには終りがあるはずだ、まるで……まるで谷の壁のように、わかるかい?僕は壁を見つけなくちゃいけない、そして、そして僕は……

……

……

じゃあ……行くよ……また会おう、すぐに。

……

ヒューム値が高いものは低いものにヒューム値が流れていく…博士はどんどん現実性を失って崩壊していってるのか…博士自身の計算で3年がリミットだけど間に合うのか…?

ログセッション3
6ヶ月、10日、5時間。

ハロー、小さなレッド。しばらくぶりだね。

覚えているだろうけど……思い出して……自分がなんでそんなにワクワクしていたのかわからないよ。この場所は……神よ、この場所、この場所は……地獄だ。

ここに果てはない。それはただ、ただただ続くだけだ。

私はある方向へ2、実に2ヶ月旅し続けた。神様、私はなんてバカだったんだ。どうしてここから出れるなんて考えたんだ?まるで愚かな昔のヨーロッパ人が、海が途中で落ち込んでいると考えたみたいに。大馬鹿だ、ロバート、バカだ、ただ - ただ - あああああああああ -

もし落ち続けたなら、私は底へ着くのか?

10ヶ月、28日、15時間。
底なんて無い。そしてお前もクソ野郎だ。

ごめん、レッド、行かないでくれ。消したりしてすまない。戻ってきてくれ、頼む -

……僕は40になった。誕生日おめでとう、ロバート。

僕は養子なんだ、知ってたかい?そう、僕の両親は道端の箱に僕を置き去りにしたんだ。アメリカ人の夫婦に拾われた。だから中国系らしくない名前がついている。僕は自分の本来の名字も知らないんだ。聞いて欲しくなったんだ。君はどうだい、レッド?

アナと僕は1988年にサイトで出会ったんだ。彼女は美しかった。今でもそうだ。彼女の目は美しい。僕の目は灰色だ、退屈だろう?でも彼女は……美しいんだ。君はどう思う?彼女は今でも僕を心配してるだろうか?リトル・レッド?彼女はまだ僕を探してるかな?

レッド、君はいい聞き手だ。でも君自身について話してるのを聞いたことはないな。言ってみろよ、恥ずかしがるなよ。ここには他に誰もいない。そうだろう?ハハハ……ハハハハハ……

"申し訳ありません、ロバート。それは出来かねます"ハハハ、レッド、君は面白いな。

君は結婚してるかい?子供はいるかい?家族はいないのかい?ガールフレンドは?ボーイフレンドは?レッド、僕はとやかく言いやしないよ。ただ……話してくれよ、頼む。頭が痛い。足が永遠に眠ってしまうみたいな感覚がする。

子供の頃コミックストアで働いていたんだ。その頃は安くてね、その上僕は毎週末にタダで貰ってた。スパイダーマンがいちばん好きだったな。

僕は道端で箱に入れられていたんだ。

僕は……何だと……そんな、そんなそんなそんなそんな、レッド、僕の写真を知らないか?写真だよレッド、アナの写真だ。どこに - 出てこいよ、出てきてよ、どこに - どこに - アナ!アナ!アナ!どこへ行った - ダメだ、ダメだダメだ、頼む、頼む、これだけは、頼む。

消えていく、彼女が消えていく、消えていく、頼む、アナ、だめ、頼む、出てきてくれ、愛する人よ、ここにいてくれ、早すぎる、早すぎるんだ、僕が計算違いするはずない、間違えていない、なくちゃいけないんだ。アナ、アナ、君を掴めない、帰ってきてくれ、アナ、愛する人、可愛いアナ、頼む、君がいてくれないと、君が必要なんだ、頼む、頼む、行かないでくれ、僕はここだ、僕はまだここにいるんだ。レッド、助けてくれ。アナ、頼む、頼む、行かないでくれ、行かな -

黒い髪、緑の目、160。黒い髪、緑の目、160。黒い髪、緑の目、160。黒い髪、緑の目、160。黒い髪、緑の目、160。黒い髪、緑の目、160。黒い髪、緑の目、160。黒い髪、緑の目、160。黒い髪、緑の目、160。黒い髪、緑の目、160。[スクラントン博士はこれを3時間繰り返す。]

アナと僕は91年に結婚した。仕事のせいで、僕らが本当に欲しかった最高のスーツやドレスは着れなかったけど、でも、僕らはすごくキマってた。アナのほうがきれいだったよ、もちろん。僕らはダンスして、一晩中ダンスして、そしてまる1週間の休みを貰った。僕らのみたいな仕事でも、ハネムーンくらいは行かせてくれる……だから、来てよレッド、握手しよう、ハイタッチだ。来いよ、来いよレッド。

1年、2ヶ月、27日。

…
…

あああああああ -

[続く録音は、コントロールパネルが時間を告げる自動音声のみが、1日から3日の間を置いて、時として数カ月のギャップを挟んで記録されている。時折、スクラントン博士のすすり泣き、叫び、不明瞭な発話が混じる。このような録音は2年7ヶ月28日に達するまで続き、その後は全く音を拾うことなく2ヶ月が過ぎた。

やばいやばい!もうすぐ3年経ってしまう!博士の精神ももう限界だし希望は…ないの?

ログセッション4
…
…

[スクラントン博士の声は明らかに歪んでいる。彼自身とコントロールパネルがついに現実性崩壊したことが原因と考えられる。]

ロバート……寒い。私は……私はもはや足を感じられない。私は……私は以前話した……地点に到達したのだと……思う。低ヒュームフィールド……拡散……平衡……馬鹿な……ゴミの……山……

私にはもはやここにおける現実とは何かわからない。私が現実なのかはっきりしない。あるいは……それに近い……もし……もし私が本当にこうして消えるなら……わ……私はまだ死にたくない。死にたくない。おお神よ、私は死にたくない……

私は斜め上へ、6ヶ月移動した。斜め下へ……いや、真下へもう一度……8……まだ底はない。レッド、底はない。

最近はどうだい?レッド、ここずっと、僕の言葉を聞いているのかい?頑固なチビだな、レッド……

ルーシー。

え?レッド、すまない。ちょっと眠っていたようだ。何だって?ああ……ごめん、思い出すよ……

ルーシー、もし子供が生まれたらそう名付けようと思ってた。ルーシー・スクラントン、ルーシー・ラング、アナと僕は語呂がいいと思ったんだ。いや、レッド……男だったらなんて名前にしようとしてたか、思い出せないんだ……

"おはようございます……おはよーおーございます。私たちは……の……話を……"

僕はタップダンスが本当に苦手なんだ。もう足が感じられない。オーケー、じゃあ君がやってみてくれ、レッド。

Kejelの法則ではヒュームフィールドは拡散し続けると規定される。Kejelの法則によるとこのまま続けば私の睾丸もそのうち脱落する。

"アナ……アナ・ボ・バナ……"ハハ、彼女はこの歌が嫌いだった。そして僕はこれで彼女をからかうのが好きだった。"アナ……アナ・ボ・バナ・バナナ……バナナ、バナナ・カナ……"僕ら二人の間の冗談だよ。知ってるかい?こうやって単語を変えていって、次は君の番だ。[間]やってみろよレッド、もう大きいだろ、歳らしくふるまえよ。[ため息]いいよ、君もいつかユーモアが身につくだろうよ。たぶんね!

ハハハ、外に出たら科学の話をたくさんしないとならないぞ。この場所は法則がメチャクチャで、今まさに僕の手も崩れていってるんだ。

蜘蛛の巣だ。僕の左手、蜘蛛の巣みたいだ。

前にサイト-120には現実改変する蜘蛛がいてね。潰せばよかったな。レッド、外に出たら僕のためにそいつを潰してくれるか?

一日平均10、15キロメートル、加えて数回の休み。30、2、30、10、いや違う、11、違う違う10。少なくとも残り300、そして……そして、クソ、違う、下へ行くのはもっと速い……クソ、600キロメートル下だ。戻るにはもっとかかった。

とても深く、底がないのか?無限?無限の彼方へ。黙れよロバート、面白くないぞ。

ヒュームフィールド、ブームフィールド……崩壊速度は……補正プロメル相関の定数はいくつだった?10の4乗か?いや、いや……5乗、5乗だった、と思う……

1年、多分加えてあと数ヶ月。

レッド、デイビッドってどう思う?デイビッド。覚えてるだろう?男の子だったらなんて名前……そう、それ。ごめん、起こしてし……

僕……僕の手。手がお互いにすり抜け……レッド、レッド、レッド!レッド、助けて、助けてくれ、僕の手、僕の手を感じないんだ。お互いにすり抜けてまるで……まるで氷水みたいに、レッド、僕は、ああ神様、神様……

ハア……ハァ……ハア……レッド、知って、知ってるだろう、伯父さんがよくやるいたずら……親指が取れたように見せかけるやつで、実は挟んで隠してるやつ。

それをやってみたんだ。親指で。痛みも感じない、ただ外れただけ。思うんだけど……ああ神よ、私は病気なのでしょうか。わたーわたー[嘔吐する音]指は浮かんでいるけど……拾えない、手がすり抜ける。ああ、ああ神様、私、私はー

僕の小指……玉ねぎみたいな感じだ。

そう、バラバラになったみたいな。

ナイストライだ。指輪が右手にはまった。ナイストライ左手。

右に……自分を通り抜けて……自分が自分の中に入っている。

ああ……温かい……

だけど冷たい。

眠っていると……手が頭に入ってくる。仰向けに寝ている。

止まっている。僕はテレビの上に止まっている。

ジー、ジー、ジー。

ハ。ハハハハ。ハハハハハハハ。いいぞ、腎臓は片方しか必要じゃないもんな。そうだろう?合ってる?レッド、これを見ろよレッド!ハハ、ハハハハハハ……

心臓は残さなくては、心臓だけ、僕に必要なのはそれだけ。

ルーシー、デイビッド。そこにいるのか?会いたいよ。

ルーシー、デイビッド、ずるいぞ。来いよ、ヘイ、走り回らないで、こういうことを言う時は冗談だよ。冗談だよ、来いよ、困ったな。冗談だよ

僕は男だ、男になれ、ロバート。お前は男だ、何だよこれは。

アナ……アナ……

4年、6ヶ月、18日。

私は……もうこれ以上自分ですることすらも……私は……勝手にそれが起きているような……ついに、ついに私は……言い表せない。私は……まだ怖い……

私はもはや食べることはできない……

なのに、まだ、空腹を感じる。

むかむかする……ロバート、わかってるだろう。見るな、レッドもそう考えている、ダメだ。

この子豚が市場へ行きました5。

子豚は……どこかへ行きました。

このこぶ……足。足……レッド?!

5年、13日。

ハハ。
ハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハ。
ハハハハハハハハ。ハハハハハハハハハハハ。
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。

5年、14日。

5年、15日。
5年、15日。
5年、15日。
5年、15日。
5年、15日。
5年、15日。
5年、15日。

やめろ、それは痛いんだ。

5年、19日。

少し具合が良くなった、レッド、ごめん。

調子はどうだい、レッド?まとまってるか?素直になれよ、助けが必要なんだ……僕には助けが……

レッド、来いよ、それをやめろ、行くな。キツいのはわかってるよ。暗いのも。だけど - だけど - ここは暗くて、僕らはまだ一緒にいる。来いよレッド、ダメ、ダメだ、それはダメだ、レッド!こっちへ来い。一緒にいてくれ、レッド!僕はまだ触れるぞ!触れるんだ僕を見てまだ死なないでレッドダメだレッド!

[続く9ヶ月、音声は録音されていない。]

もう体の原型はほぼないのか…死ぬこともできずなんて絶望的な状態なんだ…

ログセッション5
5年、9ヶ月、3日。

……

レッド?

5年、9ヶ月、3日。
5年、9ヶ月、3日。
5年、9ヶ月、3日。
5年、9ヶ月、3日。
5年、9ヶ月、3日。
5年、9ヶ月、3日。
5年、9ヶ月、3日。
5年、9ヶ月、3日。
[自動メッセージが97回繰り返す。

やあ、おチビちゃん、僕を置いて行ってしまったのかと思った……[スクラントン博士の声は激しく歪んで、小さい音声のため、判別できる限界に近い。]

……

すまない、すまないレッド、だけど……ここにはもう殆ど残ってない……僕は……とても辛い。僕は……184。184回死のうとした。だができない。……何をやっても死なない。僕は自分がどの程度残っているかもわからない。最低でも足が1つ……なぜなら移動できるからな。おそらく足の筋肉も少し、だけどとても弱い。内臓は……内臓はダメだ。おそらくは心臓、そして肺。この場所は……決して僕を死なせない……疲れた……

僕は……死んだんだレッド。そんなふうに僕を見るな、僕を憐れむな。僕はショックも、怒りも、それと、それと……できない、224……数え間違えてた……

1、2、3、4……[スクラントン博士は1から220-245を数回、12時間に渡って数える]

僕は死んだ。僕は死んだ、何回も。窒息しようとした、首を締めようとした。自分を噛みちぎろうとした、そして……そしてこの場所、現実ではない。僕は自分が地面にいるのを見て、そして - 、そして - どこへも行けなかった。僕は逃げられない、逃げ道はない。ただ仰向けに寝ている。そして見る度に、自分が消えていっている。おお、神よ、これだけ自分がなくなっても、私は生きているのですか?

それで、何で……何で君は今戻ってきたんだ?何を言いたいんだ?

5年、9ヶ月、12日。

この場所は狭くなってきてる。レッド、どうやったんだ?僕は……この場所には確実に終わりがある。神のみぞ知る……ベールみたいなものが遠くへ伸びていて、それに触れると凄く痛む。レッド、何が起きているんだ?

暗く……暗くない。あのボーダーか何かはどんどん明るくなってる。いや、今でも凄く暗いでも……おお神よ、今は何かが見える。私、私は……おお、神よ、これは何なのですか?おお神よ、私がこれほど酷いとは知らなかった。おお神よ、神よ、神よ、殆ど無くなっている……

5年、10ヶ月、10日。

レッド、きみは硬い。まるで……違う、きみはとても硬い。君は……君は現実だ。そして……そして僕も君に触れていると現実になる。だけど……だけどそうするととても痛いんだ。君に触れていると自分がバラバラになりそうで……

君は……君は本当に痛い。ジーザス、痛い。何が起きているんだ?

およそ直径3キロ、そして狭くなってきている。これは……これはKejelの第4法則か?だけど……何をやってるんだ?ヘイ、ヘイ!私はまだここにいるぞ!止めてくれ!崩壊してるんだ!おおい!おおい!

2キロメートル。おお神よ、近づいてきたら何が起こるんだ?クソッ、レッド、痛い!

崩壊ではない。波だ。これは波……何だと?

ロバート、お前は天才だ。壁じゃない。窓だ、窓が開いている。

5年、10ヶ月、24日。

アナ、アナ、聞こえるかい?この波……この場所……オーケー、想像してみてくれ、2つの現実は重ねられた2枚の紙みたいなものだ。この場所は間で潰されたような空間だ。並行に、2つの現実性しか存在できないはずだが、この場所は小さい、でも無限の第3の……第3の……間の領域なんだ。まるでポイントAからポイントBへの橋を横切る穴に落ちた時のように。クラス-Cワームホールを思い出してくれ。その理論はたくさんの穴があるワームホールについてのものだ。ここは……ここはそういうワームホールが導く場所の一つだ。それは別の世界へと導くのではなく、無へと導くのだ。行き止まりだ。この場所は行き止まりだ。クラス-C"ブロークン・エントリー"。

この波は、いずれにせよ、この場所と相互作用している並行現実から来ているんだ。つまりこの場所が極めて微小な隙間に存在していることを示している。そして……私とレッドを押している……なぜなら我々にはある程度の現実性が残っているからだ。そこへ向かって押して……あるいは吸い出している。次第に新しいワームホール……ホームへと向かう……ワームホールを作りながら。

……

窓が閉じて、私が帰った時何が起こるんだ?

考えるんだ、クソッ、ロバート、考えるんだ、もっと深く、深く!

レッド、僕は、ああ、僕は、ジーザス、があぁ、僕は君から離れなくてはならない、わからないが、君は病気か何かだ、今の君は本当におかしい。良くなったら呼んでくれ。

……考え……考えられない……そうだ……血。血。道……沢山……は……

滴る、滴る、滴る。これはどこにいいいいいい……くくくくくくくく……[雑音]

僕は……[雑音]吐き気なんて長らく感じてなかった……僕が……を失っ……男だろ、ロバート。

おお神よ、神よ、もうそれは、神よ、それは、それは - [雑音]
……

[音が割れる] なぜだ……?なぜ……?こんなに吐き出せる……?レッド、教えてくれ……僕は……僕はこんな胃なんて……血が止まらない……[スクラントン博士は続く2時間泣き崩れる]

気を……[雑音]確かに。考えてる……

レッド、自分がどこかへ戻れる状態になってるかどうかわからない……

5年、11ヶ月、3日。

違う、レッド、自己中心的なんじゃない。波が来ている。僕たちは近くにいちゃいけない。レッド、見て、僕を見て、これが見える?レッド、僕を見て、見て。僕らは近くにはいられない。死んでしまう。3年も一緒にいただろう、覚えている?

なぜなら、このあと……僕は死にたくない、レッド。僕はまだ怖いんだ。[音が割れる] レッド、怖いんだ、オーケー?わからないかもしれないけど、君は……君は人間じゃないんだ、レッド。

ああ、ごめん、責めてごめん、レッド、違うんだ、来てくれ。そんなつもりじゃなかった。見てくれ、君は僕の友達だ。わかった?君は、僕の最高の友達だ。でも……これに向き合おう、君のほうがここを出られる可能性は高いんだ - ……僕をひとりにしてくれ、頼むよ、レッド?少しだけ……オーケー?僕は本当に……

聞こえるかい……?波が来ているよレッド?このハム音と振動が聞こえるかい?どんどん大きくなってる、そしてとても痛い。[静かに泣き始める]とても痛いよ6。

違う……ダメだ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメ……なぜだ?なぜだ?行かせてくれ、行かせてくれ、行かせてくれよ!神様[すすり泣く]

[鳴き声と呻き]あと5年、あと5年、これが続いたら、あと5年自分を再安定化できたら、僕はどうすると思うレッド?!

[続く5日の間、コントロールパネルは低周波のハム音がパルス状に聞こえるのを拾い始めた。音量は次第に大きくなり、それとともにスクラントン博士の叫び声、泣き声、理解できない会話がバックグラウンドに聞こえる。]

[声が震えている]レッド。

[この時点で背景のハムノイズは20パルス/分検出される。]

5年、11ヶ月、9日。

たすけて。 [大きなビチャビチャという音が聞こえる。何かがコントロールパネルを叩いていると思われる。]

[5日間完全に沈黙する。パルスの音量は増加し、周期も30回/分に上昇する。]

[大きなバチャバチャとしたノイズ]

レッド。 [スクラントン博士の声は極度に伸ばされており、ほとんど聞き取れない。]

レッド。

レッド、君の足をくれ、助けが必要だ。

レッド、君の肝臓を、腕を、手をくれ!

レッド、もっとよく見える必要がある。ライトをくれ、いや、すまない、ライトはいらない、もうもらった、他の何かだ。

アナ。

きれいな目が欲しい。アナ、アナ、君の目をくれ。僕には1つしか無いんだ。

アナ、アナ、君の唇をくれ、また君にキスをしたいんだ。

アナ、アナ、君の舌をくれ。僕は - 僕はくうふふふふふふふふふ-く [舌の鳴る音が何度も聞こえる。静かな笑いとすすり泣きの混合へと変化していく。]

アナ……アナ、つま先をくれる?グラグラするんだ。

……

アナ、君の脳をくれ、僕には半分しかないんだ。

……

[ハム音が1分あたり46回観測される。]

[泣く。]

[囁き。]すまない、アナ、そんなつもりじゃなかったんだ。ごめん、ごめん、ごめん、怖かったんだ。本当にごめん……[泣く。]

アナ……[音声が乱れる。]アナ、手を握ってもいいかい。指輪をなくしてしまったんだ……[泣く。]

[囁き。]オーケー、大丈夫だ……もう1つの出口を見つけた……まだ僕の体は十分残ってる……[音声の乱れとともに、震える笑い声。]あともう5年……何かを……思いつくまで……5年[笑い声は泣き声に変わり、続く1時間で次第に静かになる。]

[静かに泣く。]まだだ、レッド……頼む……行こうとしてるんだろう?……僕はまだだ……僕は……僕はまだ……[バチャバチャとしたノイズが聞こえる。]

愛してるよレッド、愛してるよアナ。

5年、11ヶ月、20日。

[ハム音は60回/分。]

……

[静かに泣く。]ア……ナ……[スクラントン博士の話し方はほぼ通常通りである。] [大きな金属音が聞こえ、続いてコントロールパネルを何かが叩くような音がもう一度聞こえる]
5年、11ヶ月、21日。

2005年12月23日、LSSコントロールパネルはサイト-120試験施設、現実性研究室Aに自発的に出現しました。

……

博士、アンカーの初期ヒュームフィールド値は安定しています。出力は2.3、変動は0.001%です。

いいわ、スキナー。この調子で行くといいわね。

待ってください。何だこれは?

何があったの?

何かが試験領域内に出現しました。

何ですって?

マム7、アンカーフィールド内で大きな物体が実体化しました。指示をお願いします。パワーを落としますか?チームを呼びますか?

スキナー、何をして - おお、何 - どこからこれが現れたというの?!

わかりません、マム、ただ - ただどこでもないところから出現しました。覆われて……まるでこれは - [絶句]おお神よ、すごい臭いです、これから臭っています。ジーザス -

[絶句。]これはまるで……死の臭いです。吐瀉物と…… - 血と、そして……そして……

……

マム?

おお神よ。

マム?

中止しないで、スキナー。繰り返します、中断しないで、フィールドを上げ続けて、中断しないで!

マム、何が起きているんです?マム?マム!

ヒュームフィールドを1.7へ減少させて、収容エリアに入ります。フィールドを停止しないで。でないとこの物体の不安定化を招くわ!

あー、イエス、マム![ヒューという機械音。]えー、報告します、ええ、こちらマシュー・スキナー博士、チームの救援……

[水溜りを歩くような足音]

ああ、神様、これは何 - 一体何?これは……これは……これはその……ああ神様。ロバート?ロバート?!、あなたなの?ああ神様、あなたじゃないと言って。あなたじゃない、ロバート?!私は、私は - どうやってこんなことに - ?[濡れた靴音が再度聞こえる。]

[電子的なビープ音。]

マム。マム?何をしてるんです、触れてはいけませ -

こちらはラング・スクラントン安定機のインターフェースです。おかえりなさいませラング博士、ご用命は -

音声ログにアクセスして。2000年1月2日から再生![潰れたような雑音が聞こえる。]ああ神様、神様、どうしてこんなことが起きたんです?誰かがこの上で破裂したみたい。これはまるで - [絶句。]これは……ああ神様これは……神様、神様、お願い、嘘、こんな - [喘ぎ、泣く。]灰色の彼の灰色、ああ、神様、もう1つは、どこ……?

音声ログにアクセスしています。続行するには音声でパスワードを入力してくださいラング博士。

[声が途切れ始める。] - ……[間]パスワード……"Anna bo banna"!ああ神様……彼が……彼があらゆるところに、何なのこれは?……

命令を受領しました。処理しています……申し訳ありません、2000年1月2日の音声ログはありません。スクラントン博士は2000年1月13日に音声認識を用いてログにアクセスしています -

[金属のぶつかる音。]いますぐ再生して、再生して![泣く。]ああ神様、ロバート、ロバート、愛する人、何が - 何が起きたの - ?

了解しました、ラング博士。オーディオファイルを取得しています……

マム、素手で触ってはいけません。有害な可能性があります。除染チームが来るのを待ってください -

血がこんなに沢山、たくさん、ロバート、大丈夫?!どこへ行ったの?!ああ神様、神様、神様…… [液体を拭くような、ビシャリという音とキューという音。]ああ神様、血が沢山……[キューという音]何が……ああ…… [息がつまり、あえぐ音、20秒沈黙。]

マム!マム!ラング博士、お願いですから下がってください!

彼の手、彼の指輪……落ちて……

マム、何が - ?ああ、クソ、ああ、ジーザス。ラング博士、下がって、下がってください。連れ出します、大丈夫ですから!

ファイルを取得しましたラング博士。再生します。

ラング博士、お願いです、一緒に来てください。助けを呼びます。聞こえてますか?ラング博士?ラング博士?聞こえますか?ラング博士?!

名前、ロバート・スクラントン。39歳。誕生日、1961年9月19日。

好きな色、青

好きな曲、"Living on a Prayer"
妻……アナ……

アナ……

[何かが濡れた床に落ちるようなドシンという音。]

ラング博士?ラング博士!通信、こちらマシュー・スキナー博士、サイト-120、現実性研究室A、医療チームを至急よこしてくれ!

博士が長年望んでいた現実世界に戻ってこれたのか・・・
だけど戻ってくるにはあまりにも時間が経ちすぎている・・・

レッドと博士は戻って来れたのか、だけど博士の体は…

ぐちゃぐちゃの体でもヒューム値が低いレッドリアリティの中で生存できていた。

そこから現実に戻ってしまったら…

著者 [YS_GPCR] 原作記事 SCP-3001 – SCP財団 (wikidot.com)

終わり

Pasquale CantoneによるPixabayからの画像

今回はSCP-3001レッドリアリティを紹介しました!

その空間に入ってしまうと現実と非現実の間で自分を保てなくなる・・・

入ってしまったら神に祈るしかないか・・・

原作記事が気になった方はぜひ読んでみてくださいね。

この記事はCC BY-SA 3.0ライセンスに基づきます。

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