ほんとにKeterクラスオブジェクト!?あまり危険ではないかもしれないSCP3選!!

スポンサーリンク

不思議で怖くておもしろい!そんなSCPを紹介したいと思います!

今回はKeterクラスオブジェクトに分類されているがあまり危険ではない?そんなSCPを3体紹介しようと思います!

dongyun baiによるPixabayからの画像

SCPとは

SCPとは常識に反した超常的な存在です。生物に限らず物や場所などのことを指すことがあります。それらを確保、収容、保護することを目的としているのがSCP財団です。

SCPには収容難易度によってランクづけされておりオブジェクトクラスと言われています。

Safe(セーフ)
 注意して収容しとけばそんなに危険じゃないよ!

Euclid(ユークリッド)
 よくわからないことが多くて危険だよ!収容が難しいかも・・・?

Keter(ケテル)
 収容することができない!なかには人類への壊滅的な危機または世界が終わる危険性があるよ!!

主にこの3種類に分類されてます。

SCP-1010-JP 未確認飛行物体が見てる

オブジェクトクラスKeter

BessiによるPixabayからの画像

特別収容プロトコル:現時点においてSCP-1010-JP実体は財団の収容下になく、収容計画も確立されていません。

財団による収容の試みはSCP-1010-JP出現イベントの影響の拡散を阻止、除去することに注力します。

SCP-1010-JP出現イベントに対処するため、対応チーム”黒ずくめの男達”は日本標準時で04時から20時までの間、常に出動可能な状態で待機します。

日本国内を対象とする全ての異常現象観測網の報告からSCP-1010-JP出現イベントと推定される現象が発見され次第、速やかに対応チーム”黒ずくめの男達”に報告されます。

SCP-1010-JP出現イベントの発生を確認した対応チーム”黒ずくめの男達”は現地に派遣され、下記の活動を実施します。

  • SCP-1010-JP出現イベント影響範囲の特定・把握
  • SCP-1010-JP出現イベント影響範囲内の映像・写真記録の監視
  • SCP-1010-JP出現イベント影響範囲内のヒトに対するクラスA記憶処理
  • 発生したSCP-1010-JP-Aの捜索、拘留、尋問。クラスA記憶処理による影響の除去

詳細な対処手順は対応チーム”黒ずくめの男達”のメンバーにのみ公開された文書1010-JP-MIBを参照してください。

各SCP-1010-JP出現イベントでの捜索とは別にSCP-1010-JP-Aであることが疑われる対象を発見した場合でも、可及的速やかに拘留し、適切な記憶処理を実施します。

財団外部に存在するSCP-1010-JPの観測記録には、可能な範囲で類似の気象現象によるものとするカバーストーリーを用いて対応します。カバーストーリーの適用できない記録は全て隠滅します。

説明:SCP-1010-JPは日本国内で目撃される未確認の飛行物体です。

これまでの観測記録によるとその形状は直径12m程の球体で未知の原理で空中に静止しています。

表面から赤色に発光しており、その発光スペクトル波長は630nmから650nmを中心強度としています。

後述の性質のため、更なる組成の調査・解明は現時点では進んでいません。

SCP-1010-JPは不定期に、特定の条件下にある日本国内の限定された地域からのみ光学的な観測が可能となります。

この一連の現象をSCP-1010-JP出現イベントと呼称します。SCP-1010-JP出現イベントの発生地域は既知の全ての事例において、以下の条件を満たしています。

  • 本州、四国、九州北部、ならびにその周辺諸島の陸地にあること(正確な発生地域のリストは文書1010-JP-MIBを参照)
  • その地域における日の出から日没までの時間帯にあること
  • 天候が雲量7Okta以上の曇りであること

特に時間帯は、日の出から1時間以内もしくは日没前の2時間以内の発生例が有意に多い傾向が認められます。

現れる時間帯はほぼ決まってるけど日本国内のどこにでも出現する可能性があるのか・・・

場所を特定するのは難しそうだね・・・

各SCP-1010-JP出現イベントの影響範囲は10000から20000m2程度の広さ、地表からおよそ高度60m以下の領域を占めます。

SCP-1010-JPはその影響範囲の中心から見て、天球上の太陽の方角におよそ1000m離れた空中に出現します。

SCP-1010-JPはこの影響範囲外からの観測が行えず、存在するはずの位置に接近してもいかなる異常も検出されません。

現時点では、SCP-1010-JP出現イベントにおける影響範囲内からの観測結果のみが当該オブジェクトの性質を把握する手がかりです。

この性質からSCP-1010-JPは実体を有しない純粋な異常現象である可能性が指摘されていますが、これまで影響範囲内から行われたあらゆる観測結果がSCP-1010-JPに発光する球体としての実体が存在することを示しています。

SCP-1010-JP出現イベントの間、発生地域内で不定数のヒトが一時的に消失する現象が発生します。

消失現象の対象となる人物の周囲に目撃者がいない事例が有意に多い傾向が認められますが、衆目監視下での消失事例も確認されています。

いずれのSCP-1010-JP出現イベントも、発生から30分前後でSCP-1010-JPが消失することにより終了します。

同時に、消失現象の対象となったヒトは消失場所の近辺に再出現します。再出現の発生場所も消失現象と同様、監視の少ない場所が選ばれる傾向が認められます。

再出現後のヒトは消失中の記憶を持っておらず、「SCP-1010-JPは私達ヒトを監視している」という認識を有するようになります。(以下、この認識の影響下にあるヒトをSCP-1010-JP-Aと呼称)

神隠し?かと思ったけどちゃんと戻ってこれるんだ。しかも無傷で認識させるだけ?

この認識の強弱はSCP-1010-JP-A毎に差があり、得た認識を周囲に公言するかは個体によって異なります。

その他のSCP-1010-JP-A全体に認められる傾向として、各個体が「悪事」と認識する行動に対する忌避感の増大、模範とされる行動を遵守する義務感の増大が確認されています。

SCP-1010-JP-Aに対する尋問により、これらは監視妄想に伴う変化であると結論付けられました。これらの認識は財団が有する記憶処理技術によって除去できることが確認されています。

個別のSCP-1010-JP出現イベントにおけるSCP-1010-JP-Aの発生数は不定です。財団が確認した範囲で最大は198?/??/??、埼玉県??市内の事例で1?例、最小で200?/??/??、福井県??市内の事例で2例が記録されています。

日本国内が財団の管轄下に入る以前の記録を調査した結果、SCP-1010-JP出現イベントは12世紀頃から日本国内で継続して発生し続けていることが判明しています。

これらの記録から、かつてSCP-1010-JPは日本国内で太陽と同一視され認識されていたことが示されており、日本国内の文化・習俗・宗教観に甚大な影響を及ぼしたと考えられています。

SCP-1010-JP出現イベント発生の気象的・地理的条件およびSCP-1010-JPの相対位置の位置取りから、SCP-1010-JP自身、あるいは関連する未知の存在がSCP-1010-JPを太陽と誤認させることを意図してSCP-1010-JP出現イベントを発生させているという説が提唱されています。

過去に発生したSCP-1010-JP-Aを起源とする非異常性の二次的影響は、現代日本の文化習俗にも多く残存しています。

しかし日本国内が財団管轄下となった1945年以降、継続的なSCP-1010-JP出現イベントへの対処の結果としてSCP-1010-JPの日本の文化習俗に対する二次的影響は漸減傾向にあり、残存する影響は非異常性の文化の範疇として扱って支障がない範囲であると結論付けられました。

現在SCP-1010-JPはKeterに分類されていますが、これはSCP-1010-JP出現イベントの正確な予測ができないこと、SCP-1010-JP-Aの完全な把握が困難であること、SCP-1010-JP実体が収容できていないことによるものです。

今後SCP-1010-JPの性質に変化が生じず、かつ財団が対処を継続している限りは、異常性の公衆露見のリスク、日本国内でのMK-クラス文化変容シナリオの発生リスクは低いと見積もられています。

補遺:20??年??月現在、これまで財団が尋問した延べ????例のSCP-1010-JP-A事例のうち、過去3例においてSCP-1010-JPに対し「テント」ないし「テントー」という名称を使用したことが確認されています。

テントー?もしかしてお天道様!?

財団の収容活動以前からも同様の事例が存在していたと推測されていますが、サンプル数が少なく断定には至っていません。

日本人をいつでも監視している!?日本人には馴染みの深いSCP!!昔から悪いことをしても「お天道様が見ている」と言いますがそれは太陽ではなくSCPだった・・・!?人間に危害を加えませんが収容は困難なようです。

著者 [holy_nova] 原作記事 http://scp-jp.wikidot.com/scp-1010-jp

SCP-4135 魔ガモ

オブジェクトクラスKeter

Johnnys_picによるPixabayからの画像

特別収容プロトコル:機動部隊ファイ-71(“ダックハント”)が顕現するSCP-4135-B個体の発見と収容に専念します。

カモ科(Anatidae)に属する種の活動を追跡するため、“国際カモ科発見索引”が考案されています。

SCP-4135-B個体の収容は優先度1、SCP-4135-A個体の収容は優先度7と見なされます。SCP-4135-B個体が特定・収容された時点で、SCP-4135-A個体は記憶処理を施され、一般社会に解放されます。

現在、SCP-4135-B個体はサイト-55の生物学的異常実体チャンバーに収容されています。チャンバーは鋼鉄で補強されており、損傷の兆候が見られた場合は修復されます。

現在のSCP-4135-Aが死亡した場合、チャンバー内に残るカモの内臓は全て処分され、新たなSCP-4135-Aが機動部隊ファイ-71によって捜索されます。

説明:SCP-4135は、いつどのような時でも、地球上にいる不特定の人間1名のみ(SCP-4135-A個体と指定)に影響を及ぼす現象です。

SCP-4135は、SCP-4135-Aの近くに、大抵は黒い体色をした不特定のカモ科鳥類が自発的に顕現するという形式で観測されます(SCP-4135-B個体と指定)。

SCP-4135-Bは出現した後、あらゆる手段を以てSCP-4135-Aの殺害を試みます。SCP-4135-B個体は肉体的外傷への耐性を持ち、大部分の負傷から短時間で速やかに回復します。

SCP-4135-B個体は生存のために食料・水分・酸素を必要とせず、核爆発を生き延びることが可能であると示されています(添付文書73:“マンハッタン計画とSCP-4135”参照)。

無敵のカモに命を狙われるの!?助からないじゃん!!

箱に入れられるなどして囚われると、SCP-4135-B個体は収容容器の壁が破れるまで頭突きを繰り返します。現在のSCP-4135-Aが死亡するとSCP-4135-B個体もまた死亡し、ほぼ即座に地球上の別な不特定の人間1名がSCP-4135-Aになります。

SCP-4135は通常18~35歳の人間を対象としますが、児童や高齢者がSCP-4135-A個体になった事例も存在します。

事実上の不死身であるにも拘らず、SCP-4135-B個体には平均的な同種のカモを上回る致死性がありません。

このため、SCP-4135-A個体がSCP-4135-Bによって死に至ることは滅多になく、自然要因によって死亡する場合が大半です。

え?そんなすごいカモなのに攻撃力は皆無なんだ・・・

不死身のカモ!?絶対に死なずに狙った人間を追いかけ続けるSCP!!だがしかし攻撃面ではただのカモ!狙われた人間はずっとカモに粘着され続けるだけ・・・ちょっと可愛いなと思いました。ただ狙われた人間が死亡すると他のカモとして再出現するので収容できていません・・・

SCP-1933-JP ケダモノの子

オブジェクトクラスKeter

DanaTentisによるPixabayからの画像

特別収容プロトコル:SCP-1933-JP-60は現在、ニューヨーク州バタビアの地下100メートルに位置する特殊収容施設に保管されています。現在の特別収容室内部には、タイムラプス式の空の映像がデジタルに描画されます。

SCP-1933-JP-aの排出が確認された場合、機動部隊ガンマ-10(“バルムンク”)によりSCP-1933-JP-60およびSCP-1933-JP-aの無力化が行われ、攻撃性を見せないSCP-1933-JP-a個体が新たなSCP-1933-JPとして収容されます。

その後、SCP-1933-JPがどのような願望に基づいているかが判明次第、特別収容室の内装は変更されます。

説明:SCP-1933-JPは単為生殖を行う不定形の生物種です。遺伝子検査によるとヒト(Homo sapiens)の近似種であると判明しており、人類に類似した知性を持ちます。

形状は概ね哺乳類に類似しますが、複数の既存の生物種が融合した形状か伝説上の生物を彷彿とさせる形状に変化します。

現在収容されているSCP-1933-JP-60は全身に黒く固い体毛の生えた全長3メートルの類人猿に似た形をとり、英語による会話が可能です。

SCP-1933-JPは生命的な危機を感知すると急速に複数の子実体(SCP-1933-JP-a)を生成し、排出します。

一度に排出するSCP-1933-JP-aは最大30体で、SCP-1933-JPのおかれた状況の打開に適した様々な特徴を有します。

SCP-1933-JP-aはSCP-1933-JPを殺害、捕食することで急激に成長し、新たなSCP-1933-JPとして状況下からの脱出を試みます。

現時点で確認されている環境適応範囲には限界が確認されず、特徴は牙や爪の発達、飛行能力、呼吸法の変化、物理的耐久力、薬物耐性、認識災害の保持など多岐に渡ります。

この性質を利用し、SCP-1933-JPは現在に至るまで計52回の収容違反、???名の死傷者をもたらしました。

このSCPめっちゃ強くね・・・?環境に適応できるし全滅させることはできないじゃん・・・

SCP-1933-JPは1917年7月、アイスランドの?????????村民42名と家畜が全滅した事件で発見されました。当初は大陸由来のオオカミやクマによる獣害と思われましたが、現地の呪術師団体によって存在が発覚しました。

発見された個体はその場で殺処分されましたが、発生した多数のSCP-1933-JP-aが拡散される結果となり、ノルウェー、イギリス、アイルランドの??ヶ所の町村で合計????人の死者をもたらしました。

当該事件は第一次世界大戦の混乱の最中のため各国により隠蔽され、各所で発見されたSCP-1933-JP個体は現場で破壊、もしくは収容されました。その後、収容された個体群は財団へと引き渡されました。

SCP-1933-JP-58は1958年6月のSCP-1933-JP-57収容違反事案で誕生した個体です。

当事案時、母体であるSCP-1933-JP-57はSCP-1933-JP-aを30体排出し、機動部隊ガンマ-10(“バルムンク”)によりSCP-1933-JP-57およびSCP-1933-JP-a破壊後、隊員γ-10デルタが液状のSCP-1933-JP-a生存個体に拘束されました。

収容室は即座に閉鎖され、取り残されたγ-10デルタは通信が途絶えKIAとされましたが、10時間後に確認された音声通信から生存が確認されました。

この後、γ-10デルタによりSCP-1933-JPの生態や性質の多くが解明され、特別収容プロトコルの変更が行われました。

音声記録1

日付:1958/06/11

<記録開始>

γ-10デルタ(以下「デルタ」):こちら、こちら機動部隊ガンマ-10(“バルムンク”)デルタ。誰か私の声が聞こえないか。

[この時、機動部隊ガンマ-10(“バルムンク”)隊長がデルタに対し応答を実施しているが、反応はなかった。のちにデルタの受信機が故障をしていたことが判明した。]

デルタ:あー、とりあえず状況の経緯は説明しておくことにする。私はSCP-???の収容違反阻止に備えて駆り出され、排出されたSCP-???-aの処分を行なっていた。ほぼ沈静化したと見られ、私は、その、あー、迂闊にも近づいてしまった。倒れた隊員らの無事を確認しに歩み寄って、まずは肉を踏んづけたと思ったが、天地がひっくり返って頭が床に落ちた。視界が裏返ったみたいで、気がついたら誰もいなくなっていた。何時間経ったかもわからないが──どうやら、この通り、私は生きているらしい。肝心なSCP-???は、ええっと。

[5秒の沈黙]

デルタ:まあ目の前にいる。私に見えるのは、透明なスライムが隊員や親兄弟の死体を包み込んで食ってる光景だ。少なくとも、すぐさま頭からむしゃぶりつかれることは無いようだ。私が幽霊でなければだが。助けてほしいのが正直なところだが、望めないと思う。誰かがこの通信を聞いていることを願う。以上だ。

<記録終了>

機動部隊の1人が収容室に取り残されちゃったの!?助け出せないのかなぁ・・・

以上の通信に基づき、証言上のスライム状のSCP-???-a個体はSCP???-58に分類されました。デルタの救出作戦が機動部隊と担当職員から提示され財団倫理委員会で協議がなされましたが、SCP-???-58の形状から収容違反の危険性が高いこと、確認されたデルタがSCP-???-58の未知の影響下にある可能性が考慮され、7日間の経過観察ののちに決定されることとなりました。

音声記録2

日付:1958/06/16

付記: 14日にデルタはSCP-???-58が死骸を完食し、接近を開始したと報告していた。SCP-???-58と接触しないように定期報告を行なっていたが、携帯食糧と飲料の枯渇、精神的および肉体的限界により移動を止める宣言をしていた。

<記録開始>

デルタ:こちらデルタ。たぶん5日は過ぎたが、救助は来ず、腹も減り、逃げ回るのにも疲れてしまった。これからSCP-???-aと接触する。変化があったらこのまま報告する。

[1分20秒経過、高音域の音声が記録される。]

デルタ:吟味をしているのか、私の周りをうろついている。

[3分経過]

デルタ:まだ生きている。

[30秒経過]

デルタ:手を掴まれた。

[1時間経過]

デルタ:[喘鳴]なあ、外で聞いている誰か。

デルタ:絵本をくれないか?

<記録終了>

え?なんで絵本?隊員が無事ならいいんだけど・・・

担当職員間の協議の結果、給餌口を通してSCP-???収容室に児童用絵本”The Cow Who Fell in the Canal”が投入されました。

その後も絵本の継続投入の要望があったことからデルタの生命維持を決定し、7日分の栄養剤と飲用水、替えの無線機、35mmフィルムカメラ、児童用絵本(“Petunia” “The Book About Moomin, Mymble and Little My.”等の計10冊)が投入されました。

以降、デルタとの通信は担当職員のサルトル博士が行うこととなりました。カメラで撮影された写真は、収容室の廃棄口に投入することで外部に提供するよう指示されました。

音声記録3

付記:この音声記録はサルトル博士の指示で行われたものである。この時、SCP-???-58は人間の10歳前後の児童と同等の知能を持っていた。また、デルタの声を模倣して発声が可能になったと報告されている。

日付:1958/08/09

付記: この音声記録はサルトル博士の指示で行われたものである。この時、SCP-???-58は人間の10歳前後の児童と同等の知能を持っていた。また、デルタの声を模倣して発声が可能になったと報告されている。

<記録開始>

デルタ:君が母の腹のなかにいた時のことを、覚えている限りで教えて欲しい。

SCP-???-58:私が母の体にいた時、私は母と1つだった。母のお腹の中は忙しかった。たくさんの光や火が食い合っていた。私もその中の1つであり、食われないよう逃げてばかりいた。

デルタ:なぜ食い合っていたんだ?

SCP-???-58:死にたくなかったから。私たちはみんな、死にたくないから食い合った。生きたい、でも生きるためには生きる強さを持つものしか出られない。だから食い合った。それはときどき激しくなって、ときどきとんと落ち着いて、それを繰り返した。それはきっと、その時に母の感じていたことのせいだ。

デルタ:外の出来事を、君は察知していたということか?

SCP-???-58:生まれた時のことを思うに、そうだろう。どうして私が外に出られたのかは、よくわからない。私はあの中で、一番生き残れなかった。兄弟たちが先に死んだから、私は生きている。

デルタ:出られなかった彼らは、今どうしている?

SCP-???-58:ここにいる。[ポンポンと叩く音]でも、今は食い合っていない。食い合うと痛いから、しないでいるといいと思う。

<記録終了>

普通に意思疎通とれてるし、攻撃的な感じしないじゃん!!このまま教育していけば!

この報告結果により、SCP-???-58には収容違反の意思がないとされ、特別収容プロトコルにSCP-???-58の一般的な知育が導入されました。

日付:1959/05/02

付記:この記録はデルタからの定期通信である。

<記録開始>

サルトル博士:こちらサルトル博士。デルタ、報告を。

デルタ:こちらデルタ。サルトル博士、これまでの生活で、SCP-???-58について確信したことを話します。SCP-???-58の精神は人間と似ています。教育すれば倫理や道徳、人間の価値観を理解してくれますし、知能面では人間よりも成長が速いです。

サルトル博士:続けてくれ。

デルタ:ただ、どうにも共感の面では弱いようです。おそらくはSCP-???の種としての本能です。彼らは生まれる時に共食いを行うし、事実SCP-???-58も母兄弟を捕食しました。共感など行なっていれば生存行為にすら躊躇うことになる。いずれにしろ、従来のSCP-???の凶暴性はこの性質が大きく影響していると考えます。幸いSCP-???-58は現時点で攻撃性を見せません。理知的な性質を利用して教育を続ければ、収容がより安定するかもしれません。

サルトル博士:わかった、ありがとうデルタ。すまないが、引き続きSCP-???-58の世話を続けて欲しい。君の救出について現在も協議を続けているが、明らかな人格や意思があるのならば、今後行動の変化も出てくるだろう。どうか継続してくれ。

デルタ:[ため息]はい。きっとこれも、神の与えたもうた試練でしょう。Keterクラスオブジェクトによる被害を食い止めることがこの身の罪の贖いとなるならば、付き合います。

<記録終了>
日付:1962/12/15

付記:この時、SCP-???-58はデルタの応答に対して反応せず、収容室の壁を何度も徘徊していたとのこと。メンタルテストスコアの低下が見られ、軽度の人間不信の傾向があった。

<記録開始>

デルタ:よし、SCP-???-58。どうしたのか聞かせてくれ。

SCP-???-58: [深いため息]ガードナー、私は君たちに嫌われていると思っている。

デルタ:誤解があるよ。私は決して君を嫌っていない。現にこうして私は君の世話を続けている。

SCP-???-58:君は必ずそう言う。申し訳ないが、信用できない。

デルタ:どうしてだ?

[ページがめくれるような音が記録され、25秒ほど沈黙]

SCP-???-58:君たちの目には、私がこう映っているんだろう。だとしたら、君たちは私の事が嫌いなんだと思う。

デルタ:すまない。しかし君はこの怪物とは違う。私たちが断じて君を嫌悪や憎悪でここにいさせているのではないと理解してくれ。

SCP-???-58:そこはわかっている。私はたぶん、ここに安心している。私はきっとここで育つように生まれた。しかしそれは私が何も知らなかったからだ。今の私が、君たちを疑う頃になっている事だけは伝わってほしい。

デルタ:わかった。君の率直な気持ちを伝えてくれてありがとう。

SCP-???-58:なあガードナー、私は君たちの敵じゃないよ。

<記録終了>

終了報告:翌日の定期報告によると、この時SCP-???-58はギリシア神話児童書のミノタウロスの挿絵を開いていたとのこと。

事案記録-193301: 1963/11/29 18:25 SCP-???-58とデルタとの交戦が発生しました。デルタの報告によれば、SCP-???-58から1体のSCP-???-a個体が発生しました。デルタは支給された装備で無事SCP-???-aを無力化、SCP-???-58は捕食により負傷しましたが命に別条はありませんでした。以下の音声記録は、当事案の直後に記録されたものです。

日付:1963/11/29

<記録開始>

デルタ:話を聞かせてくれ。

[25秒の沈黙]

デルタ:どうか話してくれ。私は君が、今の状況の何に恐怖を感じたのかを知りたい。

[10秒の沈黙]

SCP-???-58:母のことを考えた。

デルタ:君の母のことか。彼女は、君が生まれた時に捕食しただろう。

SCP-???-58:そうだ。私は母を食べた。母がそう望んでいたから。でも私は考えていなかった。母がなぜ、そう望んだのかを、私は考えた。

デルタ:どう考えた。

[10秒の沈黙]

SCP-???-58:外に出たい。

デルタ:それが、君の母の苦痛の理由か?それとも君の願望か?

SCP-???-58:私も、母も、そう願った。ここは、苦しい。私はずっとここにいたから、そんなに苦しくない。母は違う。彼女は、私よりも外に出ることを願った。母はたくさん願った。腹が減った、肉が食べたい、生き物を殺したい、血を吸いたい、外に出たい、空を見たい、暗く冷たい洞窟の中でただ眠りたい。母はそういう人だった。私は母の、外に出たい気持ちから生まれた。

SCP-???-58:母は、外に出たかった。私は、外に出たい。

デルタ:そうか──そうか。すまない。

<記録終了>

終了報告書:以降、SCP-???-58用の図書に脱出や逃亡の表現を含む書籍の投入は禁止された。
日付:1964/04/24

付記:前回の定期通信にて、デルタは収容室からの救助を要請している。直前のメンタルテストではスコアの低下が見られた。

<記録開始>

サルトル博士:デルタ、君の救出について倫理委員会の協議の結果が出たので報告だ。

デルタ:はい。

サルトル博士:結果で言えば、やはり救出はできない。

デルタ:できない?

サルトル博士:我々としても、君を助けたいのは山々だ。確かにSCP-???-58は理性的であり、手当たり次第人を襲うようなものではないだろう。しかし、我々からは、SCP-???-58を君の言葉でしか知ることができない。もしも何か問題が発生した時、我々がそのオブジェクトを問題なく収容できるかの確証がないのだ。

デルタ: しかし博士、SCP-???-58は懸念されるほどの凶暴性がありません。事実、私は6年近く、彼のそばで生きてきました。確かに先代のSCP-???-57は凶暴な怪物でしたが、彼は違います。彼は一度も人を殺さず、そのような欲求を見せず、我々との対話の意思もあります。彼はコントロールされています。

サルトル博士:それも我々からするとわからない。倫理委員会を動かすには、単純に口頭だけでなく、その存在を実証するだけの情報が必要なんだ。

デルタ:私だってそうしたいです、しかしその手段がありません。無駄な人員消費を避けたいからなのはわかります。しかし、誰も送られてこない以上、目撃者も増やせません。これじゃあどうしようもない。だから私はこうして訴えているんです!

サルトル博士:わかっている。

デルタ:わかっているじゃありません!それとも私がSCP-???-58と閉じ込められているだなんて壮大な自作自演をしているから信じられないとでも言うんですか!

サルトル博士:[咳払い]デルタ、そのことだが──倫理委員会は、SCP-???-58が君の自作自演ではないかと懸念している。

デルタ:[5秒の沈黙]待ってください。本当にそんな事を?おかしいですよ!私は、そうだ、写真を送った!フィルムを廃棄口に落として送った筈です!

サルトル博士:ああ、受け取って現像した。しかし、それらの写真には、君と壁しか映っていなかったんだ。

サルトル博士:君は過去に精神障害を診断されたことがあるね。倫理委員会はこのことを知り、君の証言に疑念を持っている。今まで記録された君とSCP-???-58の音声を、何度か照合を行なった。しかし、何度聞いても、君とSCP-???-58の区別がつかない。君たちは常に交互に喋っている。それにSCP-???-58が理知的すぎると倫理委員会は感じている。その結果、君は良くて発狂しているか、認識災害を受けているか、最悪SCP-???-58の擬態である可能性があると話が出た。よって、収容違反防止のために現状維持で結論づけられた。

サルトル博士:すまない。

サルトル博士:デルタ?

[以降、デルタからの応答なし]

<記録終了>

終了報告:この日、サルトル博士から何度か通信の試みがなされたが、デルタは応答しなかった。

部屋の外の人にとっては中で何が起きてるかわからないし、疑心暗鬼になるのはわかるけどデルタが可哀想だなぁ

日付:1964/04/25

付記: この通信は00:15開始時点から常時送信状態となっていた。この通信はSCP-???-58が行なったものと思われる。

<記録開始>

SCP-???-58:ガードナー。

SCP-???-58:いつまでそんな隅に座っているんだ。

SCP-???-58:ガードナー。君はどうしてそうも傷ついている?

[遠くから嗚咽の音声]

SCP-???-58:君は何も悪いことをしていない。君がそんな苦しい思いを強いられる謂れはないはずだ。

デルタ:[嗚咽]わからない。神よ、貴方はどこまで私に試練を与えたもうか。私はまだ許されないのか。それとも私は本当にただ夢を見ているのか。私はおかしくなってしまったのか。それとも、私の罪のためか。

SCP-???-58:気が済んだら眠るといいさ。

[デルタの泣き声が38分に渡って記録される。]

<記録終了>

終了報告:この後、デルタからの通信が68日間途絶した。サルトル博士の通信に対する応答も確認されなかった。
日付:1964/12/27

付記:当音声記録は、SCP-???-58とデルタの会話内容の抜粋である。当時の収容室からは、デルタがSCP-???と交戦していると思しき破壊音や戦闘音が確認されており、この会話はその音声が沈静してから常時送信状態で記録されたものである。

<記録開始>

デルタ:私は子供の頃に、弟を殺した。

SCP-???-58:君は彼を恨んでいたのか?

デルタ:違う。愛していた。彼は幼かった私の宝の1つだった。あれは──私は父の手伝いで、トラクターを動かしていた。弟と妹と一緒にいた。家に帰るところだったんだ。でも途中でガスが切れて、トラクターが揺れて、小さな弟はカルチパッカ4の下に落ちた。あれは事故だ。

SCP-???-58:事故だったのだな。

デルタ:そう──違う。殺したんだ。私は弟を助けられるはずだった!しかし[嗚咽]ブレーキに手を伸ばさなかった。間に合わなかったから、いや違う、間に合った筈だ。なのに私はブレーキを掴まなかった。私はあの時、まだ幼い弟が今後、ひしゃげた体で生きるなんて、そんな残酷な生き方をさせるくらいならと。そうだ、私は、意図的に弟を殺したんだ。

SCP-???-58:君は家族殺しだったんだな。

デルタ:そうだ。私は人殺しだ。鬼畜で、悪魔で、嘘つきで──怪物だ。

SCP-???-58:[小さな笑い声]君は人間のくせに、自分を怪物と評するのだな。怪物は家族を殺すのか、家族を殺すのが怪物になるのか。

デルタ:家族を殺すような奴は怪物に決まっている。

SCP-???-58:私は母と兄弟を食べたよ、ガードナー。

[13秒の沈黙]

デルタ:すまない。

[小さな笑い声]

<記録終了>

終了報告:この後、デルタからの通信が25日間途絶した。音声中、壁を引っ掻くような音が断続的に記録されており、これが事案記録-193302の前触れであったと考えられる。デルタはこの時の記憶が曖昧であり、SCP-???-58の行為を阻止しなかった理由は依然不明である。

デルタ大丈夫!?精神的にかなり追い込まれてない!?

日付:1965/01/21

<記録開始>

SCP-???-58:なあガードナー、私は君と6年以上を過ごして来た。君は君自身を怪物と呼ぶ。私は君とよく似ていると思うし、そうならばきっと私は怪物だ。

SCP-???-58:だってほら、君と私は同じじゃないか。 こうして檻に閉じ込められて、寄り添いながら、同じ無線機で、彼らと話をしている。

デルタ: そう──そうだな。

SCP-???-58:なあガードナー、君はいつか話してくれたな。アングロサクソンの怪物、悪魔、竜殺し。いろんな伝説を聞かせてくれた。もしその中で私と君を何かに喩えるなら、人から生まれた君はミノタウロスで、怪物から生まれた私はグレンデルだろう。しかし君はミノタウロスではない。君には退治する英雄などいない。

[何かを叩く音]

SCP-???-58:覚えているか?怪物は何故、怪物なのかと、私が聞いて、君はなんと答えた?

デルタ:怪物は人を殺し、脅かし、生まれながらにして醜悪で、罪深い。ゆえに、英雄の華として退治される。

[笑い声]

SCP-???-58:なあ、ガードナー。

[この時、外部では収容室の軋む音が確認されている。]

SCP-???-58:私は、怪物か?

<記録終了>

事案記録-193302:1965/01/21 SCP-???収容室の壁に亀裂が発生し崩壊、内部から全長3メートルの類人猿の姿をしたSCP-???-58が出現しました。SCP-???-58は多数のSCP-???-aを排出しながらサイト内を移動し、サイト管理室前で機動部隊に無力化されるまで職員142名を殺傷しました。その後、残骸からは著しく衰弱したデルタが発見されました。デルタは治療により一命を取り留め、その後回復しました。

SCP-???-58から排出されたSCP-???-aのうち、攻撃性を一切見せなかった個体がSCP-???-59として選出され、残りの個体は無力化されました。

日付:1965/08/08

対象:γ-10デルタ

インタビュアー:サルトル博士

<記録開始>

サルトル博士:まずは退院をおめでとう。ヒゲも髪もスッキリしたな。早速だが、あの収容室での出来事をいくつか聞かせてほしい。

デルタ:はい。

サルトル博士:まず、前回のインタビューと検査で、君がSCP-???-58の影響下ではないとは判断できた。幸いなことに。今回君に尋ねたいのは、SCP-???-58についてだ。

デルタ:彼は私の自作自演だったのでしょう?

サルトル博士:デルタ、あの時の我々にはSCP-???-58の存在を証明する術がなかった。あくまでも君の口から語られただけであり、我々は一度たりとも、SCP-???-58の姿を見たことがなかったのだ。あの収容違反まではね。

デルタ:ええ、わかっています。

サルトル博士:正直、今も信じられないよ。収容室内ははたから見たら、壁の亀裂を除けば君以外の生活の痕跡がみつからないんだ。SCP-???-58に食われたと言う死体も跡形もない。我々からすれば、君は6年間をあの部屋で1人で生き抜いたようにすら見える。

デルタ:そうでしょうね。

サルトル博士:時にデルタ。君は今回の出来事をどう捉える?

デルタ: ええ。SCP-???は、もっと早い段階で、より上手く収容できた筈と思います。

サルトル博士:しかしデルタ、SCP-???は既に収容されている。次世代のSCP-???-59が今は対象だ。残りは全て破壊され、性質が解明した今は問題ない。

デルタ:わかっています。でもそうじゃありません。私たちはあのような存在を人々から遠ざけるために収容を行う。しかし──しかしだからこそ、私たちはオブジェクトを「ただ収容する」べきではないと思います。

サルトル博士:どういう事だ?

デルタ: SCP-???を収容した時、財団はそれを凶悪な怪物と判断して檻に閉じ込めました。強固な檻の中にしまいこみ、逃げられないようにしました。その結果、今まで何回の収容違反が起こりましたか?そしてその理由を我々は、「ただ凶暴な怪物が暴れ狂っている」以外での理解をしようとしましたか?そもそも今回、我々がSCP-???-58からその性質を理解できたのは、私が閉じ込められたという偶然の結果です。あの場でスライム状の彼が唯一生き残り、彼が暴力性を持たない性質で、そんな彼に私が躓き、1人で彼の側にいなければ、ここまで解明できなかった筈です。

サルトル博士:結果論だ。

デルタ:結果論です。しかし、博士、財団はアサイラムや動物園とは違う。物理的にイカれた連中を隔離し、ただ縛り付けるだけの場所じゃないんです。我々は科学の人であり、学問の人であり、何よりも、知性と人格を持つ生命です。SCP-???はただの分裂する凶悪なモンスターじゃありませんでした。ただの危険な生命体としてではなく、1つの理知的生命として触れたからこそ、私は6年もあの檻で生き延びました。我々がSCP-???というアノマリーをただの醜悪で邪悪な怪物などと断定せず、どういう精神構造であり、その行動原理を正しく理解していれば、より早く沈静化できたはずなんです。

サルトル博士:しかし、最終的にSCP-???-58は100余名の人員を殺害した。それはつまり、SCP-???-58も所詮は凶悪な怪物だったということにはならないか?

デルタ:違います、博士。彼があの凶行に及んだのは、彼が凶悪だからではありません。

サルトル博士:では、何故だ?

デルタ:我々がそうさせたんですよ。

<記録終了>

2018/08/30現在、SCP-1933-JPの野生個体が発見されないことや収容違反の可能性が低下していることから、オブジェクトクラスの見直しが検討されています。

どんな環境にも適応する最強のSCP!?だが本来は心優しいSCPなのか・・・?デルタと育まれた友情によって平穏な日々が暮らせるかと思いましたが・・・彼はデルタを救うために怪物になったのでしょうか・・・?

著者 [Monidrake] 原作記事 http://scp-jp.wikidot.com/scp-1933-jp

終わり

shamprakashによるPixabayからの画像

今回は本当にKeterオブジェクトにしては心優しいSCPを紹介しました!!ケダモノの子は人間を容易く葬るほどの力を持っていますが財団が危険視しすぎた結果によるものなのかもしれませんね!原作記事が気になったら是非読んでみてください!!

この記事はCC BY-SA 3.0ライセンスに基づきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました