不思議で怖くておもしろい、そんなSCPを紹介していきたいと思います!!
いつも使い捨て同然に扱われるDクラス職員ですが、今回は最高にかっこいいDクラス職員が活躍するSCP記事を紹介していきたいと思います!!
SCPとは
SCPとは常識に反した超常的な存在です。生物に限らず物や場所などのことを指すことがあります。それらを確保、収容、保護することを目的としているのがSCP財団です。
SCPには収容難易度によってランクづけされておりオブジェクトクラスと言われています。
・Safe(セーフ)
注意して収容しとけばそんなに危険じゃないよ!
・Euclid(ユークリッド)
よくわからないことが多くて危険だよ!収容が難しいかも・・・?
・Keter(ケテル)
収容することができない!なかには人類への壊滅的な危機または世界が終わる危険性があるよ!!
主にこの3種類に分類されてます。
SCP-1983 先のない扉
オブジェクトクラス;Keter
SCP-1983-1はワイオミング州にある平屋の農家です。
“悪魔的”カルトによるものと伝えられる連続した儀式的殺人の後、1968年に廃屋となりました。
SCP-1983-1の正面玄関を開くと、内部に異空間があります。
SCP-1983-2の事例を除き、戸口から物質や光が出ていることは観測されていません(ただし異空間は熱を発しています)。
SCP-1983-1には、窓や裏口や裏の壁の裂け目といった他の入り口から侵入可能です。
しかし、SCP-1983-1内部に居間は存在しないようです。居間に通じるはずのドアは、建物内の他のドアに通じています。
SCP-1983-1の内部と外部の寸法は一致しません。SCP-1983-1内部の壁に居間に通じるように穴を開けると代わりにSCP-1983-1正面の外壁に通じますが、戸口の左右3mで止まります。
SCP-1983-1の外壁から居間に向かって穴を開ける実験が行われたところより小さな異空間が出現しましたが、それらからSCP-1983-2が出現する事例は観測されていません。
SCP-1983-2の出現可能性を増大させる恐れから、これ以上壁を壊すことは禁止されています。
SCP-1983-2はおよそ1.8mの二足歩行の生き物です。彼らは全身が黒く人型のような見た目をしています。
彼らは非常に気性が荒く、人間に直ちに襲いかかります。SCP-1983-2は人間と接触すると肌や組織に傷を付けずに人間の胸腔に上肢を入れ、未知の方法で心臓を引き抜き人間を殺害します。一旦心臓を引き抜くとSCP-1983-2はSCP-1983-1へと戻ります。
積極的に人間攻撃してくるの!?絶対近づかないほうがいいじゃん!!
SCP-1983-2は祈りを受けた銀の弾丸でのみ殺せます。
正式な祈りや信者の祈りではなく、心を込めて祈ることが重要です。
SCP-1983-2は殺されると小さな硫黄の跡を残し”蒸発”します。
SCP-1983は周辺で発生した不可解な死の事件の後発見されました。財団調査員はSCP-1983-2の後を追いSCP-1983-1を見つけることができました。
補遺1:機動部隊Chi-13の1部隊を怪奇現象の調査のため戸口から内部へと派遣。帰還せず。しかし、彼らが入室するとすぐに正面入口のドアが出現し、彼らを異空間に閉じこめる。SCP-1983-2は出現せず。
補遺2:第一急襲部隊の安否を確かめるため第二急襲部隊がSCP-1983-1に侵入。帰還せず。扉は閉まらなかった。SCP-1983-2が現れたためエージェントモーリスが戸口に入り、直後に扉が閉まる。
補遺3:1989年5月23日、D-14134は、25mのコードで外部と接続された有線式テレビカメラを渡される。彼は可能な限りの内部調査と帰還を命じられる。一度戸口を過ぎるとカメラの映像は遮断。コードはぴんと張り詰めたかと思うと、パチンと音を立て切断される。
数時間後、SCP-1983-1の怪奇現象が消失する。中には数人のエージェントの干からびた死体があり、当該SCPについてまとめられたとみられる非公式のレポート、文書1983-15が発見される。内容は以下の通り:
未知の方法で心臓を抜かれる!?入ったら出ることはできないSCP!!このメモを読んだD-14134はドアを全て閉めているのか、はたまたSCP-1983の巣を破壊したのか・・・?
著者 [DrEverettMann] 原作記事 http://www.scp-wiki.net/scp-1983
SCP-213-JP 監獄行きのクライスター
オブジェクトクラス:Safe
SCP-213-JPはその後部トランクに異常性を持つクライスラー社製のセダン、クライスラー・300Cです。
SCP-213-JPの後部トランク以外は、通常のクライスラー・300Cのものと性能的な差異は全くありません。
しかし、後部トランクを開け、その中に物体を入れた後に閉めてから再度開けると、内容物は全て消失します。
SCP-213-JPの後部トランクより消失したものは、恐らくは異次元に存在すると思われる施設(以降、SCP-213-JP-1と分類)へと転移することが明らかになっています。
SCP-213-JP-1はある種の収容所・保管庫の様な機能を果たしているものとされていますが、その目的は不明です。
SCP-213-JP-1には敵対的な人型SCPオブジェクト(SCP-213-JP-2)が複数存在し、施設を運用しているものとされています。
SCP-213-JPは日本国内で起きた一連の誘拐・失踪事件に深く関与した疑いがあるため、警察によりマーキングされていました。
警察が令状をとり容疑者宅を捜査する際、その容疑者自身がSCP-213-JPの後部トランクに逃げ込み消失したことで、財団はSCP-213-JPの調査及び確保に踏み切りました。
実験記録213-JP-01 – 20??/09/01
被験者: なし
目的: SCP-213-JPの転移先の無人調査
実施方法: GPSロケーター付きの遠隔探査ドローンをSCP-213-JPの後部トランクに入れて閉めた。
結果: ドローンが消失した。通信は途絶し、GPS装置はその機能を失った。
実験記録213-JP-02 – 20??/09/02
被験者: D-0442(自身の妹の暴行殺人に関与した6名の人物の殺害により起訴、過去4度にわたる刑務所及び拘置所からの脱獄・逃走歴あり)
目的: SCP-213-JPの転移先での有人探査及び可能であればドローンの回収。元の所有者が自らトランクに入り消失したことから、転移先は比較的安全であるはずだと判断。
実施方法: D-0442にサバイバル・パックと音声通信装置、記録用カメラを持たせ、SCP-213-JPの後部トランクに入れて閉めた。
結果: D-0442が消失した。音声通信は途絶し、その機能を失った。
文書213-JP-A:手書きのメモ
20??/09/06、SCP-213-JPの後部トランク内に、差出人不明のメモが落ちているのを担当職員の1人が発見しました。内容は以下の通りです。
その後、SCP-213-JPの後部トランク内に以下の内容が書かれた紙の切れ端が落ちているのを担当主任の1人が発見しました。
定期的にサバイバル・パックをトランクに入れてくれ それと新品のバールがあると助かる
現在までに、SCP-213-JP-1から生還したと思われる行方不明者は日本国内だけで91人にまでのぼりました。
このDクラス職員有能すぎない!?スパイみたい!!
彼らには情報を得るための質問を行い、それが終わった後でならCクラスの記憶処理を施してから解放しても構いません。
財団の押収した48台の車両の内、45台は既に後部トランクで消失が発生しなくなっている事が判明しました。
担当研究員はその45台に引き続き消失実験を行い、完全にその異常性が失われていることを確認して下さい。
車のトランクは入り口!?別空間へと繋がっている!!このD-0442が優秀すぎるため、SCP-219-JPの全容がわかり、囚われていた人々も救出されました!でもD-0442はどーやって帰ってくるのでしょう・・・
著者 [grejum] 原作記事 http://scp-jp.wikidot.com/scp-213-jp
tale:Silver Bullet 死にゆく俺より敬礼を
taleとは記事の後書きのような作品です。
しくじった。
長い廊下を抜け、そのイソギンチャクみたいな化け物と鉢合わせした瞬間、俺の脳裏に横切ったのはその言葉と妹の笑顔だった。
手持ちの武器はバールが一本。そんなもんじゃ銃弾すら弾くコイツには通用しない。
化け物が俺に手を伸ばす。畜生、似合いの最期って奴だ。
妹を嬲り殺した男たちの顔を思い出す。この世界にはヒーローなんていない。俺がやったことを、きっと妹は望んでいなかった。
だからこれは罰なんだ。俺は永遠に監獄で責め苛まれるべきだったんだ。救えなかったくせに、護れなかったくせに。
だが、死ぬ前にこんな化け物共に一泡吹かせてやれたのは痛快だった。ヒーローの真似事ができたのは、嬉しかった。
最期になるだろうその瞬間を待つ俺の耳に、一発の銃声が響いた。
目を開く。化け物はその銃声に反応し、一瞬俺から目を離す。
チャンスだ、何が起こったのかは知らないが今なら逃げ出せる。幸い、化け物の足はそう速くない。ここから上手く逃げるルートも確認している。
踵を返し、真逆の方向に走りこむ。ジグザグに動き回り、監獄の扉を開け、ダクトに潜り込む。
ここまで来れば少なくとも化け物はやって来れない。
気を付けるべきなのはあの化け物共を雇っている人間側だ。とにかく少なくともこの場所を離れなければ。上へ行くか下へ向かうか。
直後、俺の潜り込んだ通気口の蓋が開いた音がした。もう見つかったのか、心臓の鼓動が高鳴る。口の中が異常なくらい乾く。
こうなれば相討ち覚悟だ。俺はバールを握りしめ、屈むのがやっとな通気ダクトの中でソイツを待った。
相手が銃を持ってれば、確実に俺は死ぬだろう。…じっとりと滲む手の汗。そして、相手は姿を現した。
手には銃が握られている。それを目に留めた俺は即座にその脳天めがけ、バールを振り下ろそうとして。
「待ってくれ!」
バールが頭蓋骨を砕く直前、相手、男は両手を上げて英語で叫んだ。
振り下ろす手を止めた理由はその叫びに驚いたのもあった。だが、何よりも仄明るい光に照らされていたのは。
「…お前は」
「ん? そのカッコ、お仲間か! 英語話せてるとこ見るとチャイニーズか?」
「いや、日本人だ。英語は留学の経験があるんでな。そんなことより、お前は…」
「ああ、名前なんざ知らない方がいいんだ。お似合いの名前が俺達にはあるだろ? ケツ拭く紙にもなりゃしねえ洗礼名がよ」
俺と同じオレンジ色のジャンプスーツ。コイツは。
「俺はD-14134だ、よろしくな、兄ちゃん」
「D-0442だ」
俺と同じ、糞野郎らしい。
D-14134と名乗ったその男は、ふうと息を吐いてへたり込んだ。その手には使いこまれた拳銃。鈍く光っている。
「さっきのアレは」
「ああ、お前を助けたヤツな。来たばっかでよく分かんなかったけどよ、どうにも困ってそうだったんで思わずだ」
「助かった、アレがなけりゃ死んでたからな」
その言葉から想像はできていたが俺とは人種が違う。褐色の肌に白色が混ざり始めのごわごわとした髪。
年齢は俺より一回りは上だろう。共通点はその名前と着ているジャンプスーツくらいだ。
「で、兄ちゃん。何かもう心臓おかしくなりそうで。煙草とかねえか?」
「あると思うか」
「ちぇっ、じゃあ、ジャパニーズってことはほら、ソニーのCDプレイヤーとかそんなん持ってないのか? 音楽はいいぜ」
「アンタが俺と同じ身分なら分かるだろ。それに、だ、今時iPodやウォークマンだろ?」
「…? ちょい待ち、何だそりゃ?」
コッチの台詞だ。怪訝そうな俺にD-14134も同じ表情を向けてきた。
「いやいや、冗談よせよ、ほら、去年発売しただろ?」
「何言ってんだ、今はもっと高性能な電子機器が大量に出てる」
俺の言葉にD-14134は人懐っこそうな目を丸める。どうしたんだ? 疑問に答えず、D-14134は矢継ぎ早に質問を投げてくる。
「…なあ、E.Tは去年の映画だよな? ブレードランナーは?」
「? そんなのは30年近く前の映画だぞ?」
D-14134の顔が徐々に呆然としたものに変わっていく。
ついに半分笑い出した。どうも何かしら脳の処理機能を超えたらしい。
そして、しばらくの沈黙があり、半ば諦めたようにD-14134が尋ねる。
「…兄ちゃん、今は1983年だよな?」
「冗談、30年は経ってるぞ」
「…ガッデム」
そして、両手を上へ突き出し、そのまま仰向けに倒れこんだ。褐色の腕は傷塗れだった。
「…つまり、アンタは30年近く前の人間で、アメリカで何かの化物に接触した結果、此処に来たってことか」
「そうみたいだな、…はあ、ようやく全部の扉を閉めたってのによ。次もこんなのかよ。どうも俺は女神に嫌われてるらしい」
D-14134の話を聞くに、D-14134も俺と同じく「財団」という組織に雇われ、半死半生の目に遭ったらしい。
そして、何とかそれから生き延び、辿り着いたのがこの監獄。何とも数奇な運命だと思う。
「まあ、ツイてる方じゃないか? 偶然俺にも会えたわけだし」
「そうかもしれないがね…、まあ、悩んでいても仕方がない、兄ちゃんは何で此処に?」
「…俺か?」
「おうさ、まあ仮初だろうと出会っちまったのは縁って奴よ。相手のこと知るのは悪かねえや」
…此処に、それは何で「財団」に雇われたのか、そういうことだろう。「財団」の交渉を知るD-14134なら、それがどういう意味かは分かっているはずだ。つまりは凶悪犯、重大な犯罪を犯した人間。
…俺のそれは。
俺が黙りこくっているのを見て、D-14134はその目を細め、話を引き取った。
見た目以上に洞察力があるのか、内心の葛藤を察してくれたらしい。
「…あー、話したくないんなら俺から話すか。まあ、俺はデトロイトで生まれてよ、ナムで戦争なんかにも参加したんだが…」
D-14134の人生は戦後のアメリカ史をそのままなぞったような人生だった。ベトナム戦争から帰還し、十分な補償金も出ないままずるずると下へ、下へと堕ちていった。
犯罪、アルコール、薬物…。同情こそされ、けして肯定のできない人生。だが、そんな負の面を、俺は何故かD-14134から感じることはなかった。
「で、ムカつくお巡り一発ズドンで豚箱さ。あとはお前と一緒だろ」
「…そうか」
自嘲するように薄く笑うD-14134からは、説明のできない何かを感じた。強い意志、希望、…あるいは、それと思わせるほどの絶望。
コイツになら、少しくらいは話してもいいかもしれない。そう思ったのは何故だろうか。
「まあ、その後の話は追々してやるよ、で、話す気にはなったかい?」
「…大した話じゃないけどな」
俺は気が付くと話していた。堰を切ったように言葉が何故か流れてくる。妹のこと、そして妹を殺した屑共のこと、「財団」に雇われ、ここに来たこと。そして今は此処で、鍵を壊す役割を担っていることを。
俺の言葉を、D-14134は黙って銃を撫でながら聞いていた。話し終えると、D-14134は俺の目をゆっくりと見つめ、静かに呟いた。
「…そりゃまあ、色々悲惨だったな」
「こうなったことに後悔はしてないさ。…ただ」
「言わなくていい、誰しも誰かを背負ってる。俺達みたいな屑でもな」
仄明るい通気口に沈黙が戻る。俺達屑野郎二人は、互いに相手の言葉を探っていた。
最初にそれを破ったのは俺だった。
「…帰る方法は分かってる、帰るか?」
「…お前はどうするんだよ、兄ちゃん」
「俺はまだこの監獄で鍵を壊さなくちゃならない、誰か一人はこっちに残って、扉を閉めなくちゃいけないからな」
俺の言葉に、D-14134の目が変わった。今までのどこか人懐っこく、それでいて意思を持った瞳はそのままに、俺へ憐れむような視線を向ける。どこか悲し気に、どこか寂し気に。静かにD-14134は俺に問うた。
「…なあ、兄ちゃん。お前は何を救おうとしてるんだ?」
「それは此処に囚われてる・・・」
「違うだろ、嘘吐くんじゃあねえよ」
吐き捨てるように放たれたその言葉、俺は思わず反射的に言い返す。
「嘘なんて」
「お前はお前の頭ン中の監獄に閉じ込められてんだ、お前は人を殺した瞬間から一切進んじゃいねえ」
だが、D-14134は俺の反論を許さなかった。まるで弾丸のように俺の心を、言葉を、D-14134の舌は抉っていく。撃ちこまれた弾丸が俺を突き抜け、血反吐を吐かせる。俺は、進んでいない?
違う、俺は人を救った、俺は誰かを護った。だが、そんな薄っぺらい盾はD-14134の放つ言葉と視線の前では紙切れも同然だった。
弾丸みたいだ。酷く冷たく、酷く熱い。何なんだ、いったい、コイツは、D-14134は、何を抱えているんだ。何でこんなにも、鋭く冷たい弾を持っているんだ。
「お前はただ、ずっと妹さんを救おうとしてるだけだ、お前はヒーローなんかじゃねえ、人殺しだ」
「そんなこと」
俺は言い返そうと口を開く。その口をD-14134の弾丸は抉る。
「いいや、分かっちゃいねえ。お前は救ってるんじゃねえ。監獄に閉じこもり、重りで腐る足を見て、その重さで満足してるだけだ」
俺は、あの日、妹を見つけたあの日から。
ずっと、ずっと、ずっと逃げて。そして、誰かを助けたふりをして。
止まって、死のうとしていただけだっていうのか。
…だったら、俺は何なんだ、お前は何なんだ。人を救うことが悪い事かよ、人を救って死ぬことは、いけないことなのかよ。
「だったら、だったらどうしろって言うんだ! 救うなってのか、死ねってのか、なら、俺達は!」
「…俺達は銀の弾丸だ、不幸にも心臓を貫き、そのまま抜け出しちまった弾丸だ」
俺の叫びをD-14134は許さない。
静かにD-14134は、…銀の弾丸、怪物を殺すアーティファクトはその役目に自嘲している。
俺は気づいた。いや、知っていた。
怪物を殺すヒーローなんていない。あるのは、ただ怪物から人々を護る意思だ。
そして俺達はそんな意思持つ機械共の武器、それにも満たない銃弾に過ぎない。
「誰かの願いが、誰かの思いが、そんなもんを後生大事に抱かされちまった、あると思わされちまった馬鹿な鉄砲玉だよ」
その表情は、赦しだ。どうしようもない絶望を、虚妄を、人殺しは赦し合う。
死ぬまで、永遠に俺達は人殺しのままで。
「お前は救われねえ、逃げられねえ」
人殺しは言葉を吐き捨てる。拳銃を握るその手は血管が浮き出ている。
「俺も逃れられねえ、俺に祈りを託したとあるヒーローから。俺は扉を閉め続けなければ」
「アンタは」
D-14134は俺の答えに肩を竦め、逆に聞き返す。
「どうする、兄ちゃん。…開いたのならば、閉じない扉は無い。放たれた銀の銃弾が、心臓を貫くまで戻らないように」
「認めろっていうのか」
「ああ、俺達は何をしようと納得できない。十字架を最後の審判の日まで背負い続ける」
俺は妹の顔を思い出した。その笑顔は血に塗れていた。
俺は納得していない、だが、まだ俺は飛んでいる。貫き続ける。
俺に意思を託したのは誰だ、俺に十字架を背負わせたのは俺だ。
俺は、監獄から出なくてはいけないんだ。十字架を背負い、逃げられず、それでも。
「死にゆくまで」
「そう、死にゆき、忘れられるまで」
俺は、俺達は、銀の弾丸は。
「…俺は行く、鍵を壊し続ける」
「分かった、ならまあ、折角だ。行こうぜ。鍵を閉めるのには慣れてるからよ」
息を深くつき、頬を叩く。ぐずぐずしている暇はない、奴らに見つけられたら面倒だ。D-14134を急かし、立ち上がらせる。コイツの持つ銃は奴らへの牽制になる。仄明るい通路に一歩を踏み出す。ふ、と、何かが耳をくすぐった。D-14134が何かを呟いていた。
「…Morituri te salutant. 死にゆく俺から敬礼を、兄ちゃん」
「…ああ、死にゆく俺から敬礼を」
俺達はいずれ地面に落ちるまで、飛ばなくちゃいけない。
だがそれはまだ早い。銀の銃弾、ヒーローなんかじゃない、ただの道具にしかすぎない俺達は。
それでも、それでも、死に向かい突き進む。開け放たれた扉を閉じるために、鍵を壊すために。
その先は、考える余裕すらない。残酷で無意味なこの世界で。
背負い続け、飛び続ける。いつか落ちるその日まで。放たれたのだから、貫いてしまったのだから。
銀の銃弾は、血に塗れたまま落ちる日を願う。
…だが、それはまだ先だ。
俺達はここにいる。
ここにいるんだ。
だから。
巡り合った2人のDクラス職員!!彼らはまさに銀の銃弾として様々な人の祈りをのせて飛んでいきます!現に今も戦い続けているのかもしれない・・・
著者 [kyougoku08] 原作記事 http://scp-jp.wikidot.com/silver-bullet
終わり
今回は2人のDクラス職員が活躍する記事を紹介しました!Taleでは2人の性格や過去が描写されていてとてもおもしろい作品です!!原作記事が気になったら是非読んでみてください!!
この記事はCC BY-SA 3.0ライセンスに基づきます。
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